忍隊より
影鷹で滑空しながら、依頼書を見る。
仕組んだ通り、望んだ任務。
「どうせ、向こうも何か仕掛けに来るだろうし、それも妨害してやんないとね。」
もう既に暗殺対象を一人居所を掴んだ。
情報を掴んだという情報がこの耳に届くのに時差がある。
大方、それは死体になっているだろうし、念の為腐らないよう保管はしてくれてる筈。
まったく、甘い世の中だよ。
屋上に飛び移り、千里眼で現代の忍組織を見やる。
窓に赤字で『止』が今、潜入した部下の指が書いた。
「ふふん、中々の策じゃない?上等!ってね。」
屋上から飛び降りて、忍刀を構える。
邪魔立てするのなら、排除するまで。
お前らにはまだ早いのよ、若造共。
「羅ァッ!」
ザッシュと首を切り落とし、一般人の悲鳴や在り。
殺せ、殺せよ鶯瓦。
踏めば確かに告げようぞ。
お前の侵入告げようぞ。
血を撒き散らせ。
警察の怒号に影を魅せて、銃を放てどこの身に当たらぬ。
さぁ、目を向けろ。
此処を見ろ。
お前の見慣れた死体が増えて、お前が見慣れた血が在るぞ。
変化の術で姿を変えて、分身と共に襲撃しやる。
直々に混乱手招きお前を焦らせ勝負の行方さえ見失え。
此処を我らの戦場へいざ!
「推して参る!」
入口付近を血に染めて、仕事を増やし障害物も増やしてやろう。
白黒サイレン鳴らす車に飛び乗りて、さぁこの声を聞け。
「今すぐ避難をするこった。死にたがりは残りな!」
一般人は混乱の渦にて彼処へ此方へ逃げ惑う。
警察もそれには手に負えん。
組織の正面入口、ガラスを蹴り割る。
銃口が此方を見詰めてくるんだから、おっかない、おっかない。
飛苦無で監視カメラ破壊。
指を鳴らせ。
「暗殺開始。」
「はっ。」
銃口を下げて中へ駆け出す我が部下。
監視カメラに映っちゃ不味いからねぇ。
さて、こちとらも死体を頂戴しに伺うとしますかね。
影潜りの術で退散。
おっとこれは楽に貰えそうだ。
天井からぶら下がって内容を覗く。
「よし、間違いない。」
そうかい、そりゃ良かった。
現代の忍の一員の影に入り込む。
スナイパーライフルを持ってる時点で遠射撃か。
その視線を盗んで、居所を確認。
よし、ならば此奴が撃ち殺したら死体を回収して拠点へ保管。
次に部下が殺したであろう者の死体を回収に向かう。
死体回収ばっかりは、こちとらでないと距離的に無理がある。
この人数といい、人間の重さといい、距離といい、場所といい、色々と問題があり過ぎて悲しい。
生首を差し出せば満足するのだろうか。
首から下は売っても大丈夫か?
いや、一応氷漬けにでもして依頼者に拍手を頂戴してもいいのではないか。
自然と口元が笑んでしまう。
勝負だからこそ、そうした面白味を魅せてやりたいのだ。
たとえ、勿体なくても。
暗殺対象の真後ろまで忍び込めた。
さて、いつ撃ってくれるか。
いや、殺気の飛び方が可笑しい気がする。
暗殺対象を餌に我ら忍隊を撃ち殺す気であったとしたら?
それなら確かに死体の一部を回収するのに手間な距離から遠射撃も違和感はない。
寧ろ、そうすることによって足止めでも?
手裏剣は使いたくない。
飛苦無を構え狙いを定める。
撃たないと見て、仕方がない、此方が討つとしよう。
それから、影で死体を回収すれば奴さんには撃たれまい。
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