木漏れ日の安らぎ
小川貴央
第1話 木漏れ日の安らぎ
春、肌寒い朝だったのに、お昼時ポカポカと
陽気が射してうたた寝気分のようで、そよ風が
心地よく吹いていた。
余りに彼女とのお昼タイム、居心地が良くて
少しだけ彼女の方に頭を向けてベンチで横に
なった。
「髪薄いよねぇ~、うふふ」
彼女が僕の髪の毛を触って撫で撫でしてくれた。
「ダメだよぉ~、気にしてんのにぃ~」って、
言いながらも僕は余りにも嬉しくて涙が滲んで
いたのを気付かれないように、そっと片手を
自分の額に翳した。
「まぶしいの?」
「ううん、木漏れ日がちょっとキラキラしてさ」
僕は全然眩しくも無いのに、そう言って誤魔化した。
ベンチの後ろで校庭の木々がそよ風に揺れて彼女の
優しい香水の香りが僕の頬を伝わってきて眠気を
誘った。
「あなたねぇ、寝ちゃダメよぉ~、ふふふ」
「うん、僕ね、今ね、とっても気持ちいいんだよ」
「アタシもよ、爽やかな天気で良かったわ」
「そうだね、ずっとこのままで居たいね」
「子供みたいなこと言って、でもほんとはアタシも」
「ねえ・・・・」
「なあに」
「ううん、なんでもないよ~」
のどかな校庭の昼下がり、しばらくは二人だけの
時間がゆったりと流れていった・・・
木漏れ日の安らぎ 小川貴央 @nmikky
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