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「…申し訳ありません、ウチの者が無作法を」
『其れは"家の息子が"、と言う意味合いで捉えて良いのだろうな?』
スピーカーを切っていて正解だった。
「…えぇ、"宅の家内"がと言う心算で」
『ふん…二人して強情を張りおる、やはり親子扱いで間違い無かろうよ』
「もうその辺りで…御忙しいのでは?」
『あぁ、そうだのう…少し此方の近況を共有しておこうと思うてな、ざっと頭に入れておけい』
その後、半ば以上愚痴交じりの近況報告を受け取るのに十数分を要して。
『まぁ貴様が戻って暫くは手を煩わす案件は無いようにしてやる、身の振り方は戻ってから二人で考えれば良かろう』
「終始気遣い頂いて…御言葉に甘えてハネムーンを堪能します」
『もうぞろ坊の機嫌も直ったろう?最後に声が聞きたい、代わって貰えんか』
「どうでしょう…まぁ時間が掛かりそうなら私の方で持ち直しますので」
再度スピーカーに切り替え隣で不服を露にする彼に目配せした。
「…お話はもうよろしいので?」
『おう、パパを長話に借りて済まなんだな』
まだ言うか。そんな悪態を彼も同様に抱えたらしく刹那に表情の険しさが増した。
此処で即座に回線を引っこ抜かなかったのが後の面倒の引き金となろうとは。
「構いませんよ!後で十倍は時間を掛けて閨で愛して頂きますから!」
『…奴に代われ、今すぐだ』
反射的に裏返りそうになる胃の腑を何とか嚥下して受話器を取った。
『…貴様の良識を信じた自分に自信を喪いそうだ』
煽る義父殿にも非が有るのでは、と言う反論は酸味と共に飲み下し空返事で応じた。
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