第13話 暴力とロクデナシ

 6月19日

 21時33分。


『もしもし依子? お前さ、木村さんに何かしたの? すっげー怒ってんだけど。つーかお前のこと探してるみたいなんだよ。マジでなにしたわけ?』


「今度はさっきの男、タカシの声だな」


 メッセージの終了と同時にカンタは言った。


 渡辺じゃなくて安心したな、と俺は場の空気を暖めようと冗談を言った。


「木村さんって誰だと思う?」


「わからない。わからないけど、絶対まともな男じゃないよ」 


 その点については同感である。


 あくまで偏見だが『木村さん』なる男に暴力的な一面があるように思えてならなかったのだ。

 そもそも怒り心頭で女を探す男に、まともな奴などいやしない。


 おおよそ、そう言う連中はロクデナシと相場が決まっている。


 次に録音されているメッセージは約10分後であった。

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