第12話 執着と嫌がらせ

「あ、ああ……」


 唾をのみ込んだ後、俺は話を切り出した。

 述べたのは素直な感想だ。


「なんだったんだろうな、この電話……ストーカー?」


 頭の中には、1つのストーリーが出来上がっている。


 依子へ行為をよせる男が徐々に行動をエスカレートさせていき、自分に構って欲しいがゆえに嫌がらせへ及んだ、と言う流れだ。


 ストーカー犯罪には有り勝ちな筋書きである。


「きっと依子は気持ち悪くなって携帯を捨てたんだ」


 3桁に達する異常な着信履歴は、男の異常な執着と考えれば納得がいく。


 「ねぇどうする?」とカンタは俺の顔を覗き込んだ。


「もう少しだけ、もう少しだけ見てみよう」


 彼には悪いが、俺は続きが気になって仕方なかった。

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