第32話
どういう経緯でそんなことになったの?
kerubero
さっき決めた作戦を報告すると、一瞬で返信が帰ってきた。
殺しあうようなことをするほどまだ奴らとは敵対していないと思う。被害だって少
ししか出ていないよ。今のところは。
kerubero
西島さんが急にスマホに向かって怒鳴った。
「そんな甘いことは言ってられんわ!!人の命に多いも少ないもない!一人でも被害者が出ているのなら、容赦はしない。」
つばが飛んだ。
「ちょ、ちょっと落ち着いて。通話じゃないんだから、怒鳴っても意味ないわよ。」
「そ、そうか。」
西島さんが言ったことをメールで送信した。
瞬時に返信が来る。
勝算はあるのか?相手は未知の力を使うんだ。
kerubero
「ある。」
即答した。
「携わるもの全員を集めて、敵と全面戦争だ。」
西島さんはゴリゴリの戦闘向きだが、他のメンバーはそうではないはず。さすがにこの作戦は通らない気がした。
一応、今言ったことを送信した。
いいねそれ。 僕もちょうど同じようなこと考えていたところなんだ。
kerubero
はぁ?正気なのこの人?
「はっはっは。さすがQuestersリーダー。思い切りの良さは格別だ。」
正直、今のままだとこちらがやられるのは目に見えている。すでに連絡が途絶えてしまった藩もある。暗闇に潜むのは奴らのほうが数段上らしい。
kerubero
「やはりな。ゲリラ戦では分が悪い。」
この人は何でも戦争チックに言うな。
「正面衝突なら勝てるとは限らない。」
「それでこそ戦う意味があるってもんよ。」
生きる時代を間違えているのではないか。西島さんが戦国時代の武将に見えてきた。
この人についていけば勝てるような気がしてくる。
作戦はそのまま採用されそうなので、場所をメールで伝えた。
なるほどね。場所はそこでいいんじゃないか。あとは相手が挑戦に受けて立ってくれるか、だが、おそらくいける。 奴らには他の目的がある。それが何かは分からないが、僕らにウロチョロ邪魔されたくないはずだ。一気に殲滅できるのなら喜んで乗ってくるだろう。
kerubero
この人も西島さんと同じ考えなのか。
「は!逆に殲滅してくれる。」
「どうやってする気なの?」
「言ったろう?少なくとも一人は傭兵上がりの戦闘好きがいる。俺はそいつとタッグを組む。他のメンバーもある程度は危険に慣れているはずだ。」
「人員はじゃあいいとして、武器はどうするの?」
ピロリンッ と着信音が鳴った。
武器についてはお任せあれ。裏ルートは得意だからね。ありったけ集めるよ。
kerubero
「はっは。準備がいいな。俺も少し体をほぐしておくか。」
まだ作戦の日にちさえ決まってないのに、やる気満々といった感じだ。
「勝敗はどうやって決めるの?」
「普通だったら、どちらかが降伏するまでだな。」
「よかった。どちらかが全滅するまで終わらない!、って言うかと思った。」
「はっはっは。サイコパスかよ。」
「十分そう見えるわよ。」
「言うようになったじゃねぇか。最初は敬語だったのによ。ま、そういうアガサちゃんのほうが好きだぜ。」
「気持ち悪い。」
確かに、いつの間にか話すのに抵抗がなくなっていた。今では面と向かって気持ち悪いとまで言えるようになっている。
緊張も特にしていない。他の人とだったらそうはいかなかった気がする。
やはり西島さんは一流の人なんだと改めて思った。
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ひっそりとした山奥の小屋で話し込む者たちがいた。
「蓮藤のほうは何かあったか?」
「今のところは順調です。Questersの3分の一程度はつぶせた気がします。」
「相変わらず早いねー、蓮藤君は。」
3人で明かりを取り囲むような形で座っている。
このひっそりとした山小屋が彼らの本当の本拠地であった。結成当初のメンバーと部隊長のみがこの場所を知っている。
「エディのほうはどうだ?」
「こっちはまだ何も。一応、奴を倒す算段だけはついてるよ。どこにいるのかは全くつかめない。」
「そうか。 ん?なんだ?」
部屋の隅に置かれたPCから通知音が鳴った。
「ちょっと見てみるね。」
挑戦状
場所はマップで送る。ここで勝ったほうが勝者だ。分かりやすくていいだろう?
こちらは全員で迎え撃つ。君たちにとっては全勢力をつぎ込むほどではないだろう
が、負けるわけにはいかないだろう?
もちろん、和解したいのであれば喜んで受け入れるよ。
みんなで土下座する写真を撮って送ってきてね♡
kerubero
「誰だ?Questersか?」
青い瞳が怒りで揺れている。
「そうきたか。」
「八雲、完全になめられてるよこれは。」
「それより、どうしてこのパソコンのアドレスが分かったんですかね?」
体のたくましさに似合わず動揺している。
「落ち着け蓮藤。おそらく裏サイトで能力持ちを集めた時の履歴が残っていたんだろう。そこからアドレスを割り出した。ネットにくそ強いやつがいるらしい。」
「どうする八雲?」
「挑発に乗ってやる。勝てば障害が一気に減る。計画の邪魔者は速やかに排除するのが掟だ。」
「俺が行きます。邪魔者の排除は俺らの役目ですから。」
「気を付けてね。何をしてくるか分からない。地の利は完全に向こうにある。場所的に銃を使ってくるはずだ。」
「おそらくそうでしょう。でも、そう来なくてはやりがいがない。」
にやりと口をゆがめた。
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