あとがき

あとがき 1年後

 

 ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

 

 自己満足以外の何物でもない、個人的で、俗人的で、人間的(だと思う)エッセイでした。公開出来ただけで万々歳なのに、このページを読んで頂いているなんて、この僕が幸せです。母でも、父でも、姉でもほかの誰でもありません。ただ、僕が勝手に幸せになっています。果てしなき独りよがりにお付き合いいただきありがとうございました。


 

 

 ともかく、こうして僕は両親と一生に一度のサヨナラを済ませました。


 あれからもう1年が経ちます。まぁ、なんとかバタバタしながら海外でもやっていけています。平成最後となるこの1年は、僕にとって激動の年となりましたね。両親が亡くなるやら、海外に住むことになるやら。細かいことでは、肩が外れるやら、カジノで大怪我するやら(不)名誉の負傷を色々としたのですが、元気に生きています。


 自作エッセイ「とりとめのない思いの随に」で書いたように、19年4月は帰国していました。仕事はもちろん、花見や友達と飲み会など色々楽しんできたのですが、それに合わせて、地元で一周忌もしてきたという訳です。1年も経つと落ち着いて今迄の思い出を振り返れました。時間が解決するというのは本当のようですね。


 平成も終わるし、せっかくなので思い出を整理して書いてみようか。


 そんな軽い気持ちで始まったこのエッセイですが、なんとか令和が始まる前に終わらせることが出来ました。GWも始まって、そろそろNYへ旅立ちます。その前に心残りが無くて良かった。多分、これを未完のまま遊びに出かけたら完結させるのが大変だったと思います。あー、危なかった。




 さて、心残りというと。


 僕は最後に母に心残りを持って行ってもらいました。後悔していたことを謝れました。今迄のお礼を言えました。よくやった。今の僕からも自分を褒めてあげたいくらいです。勝手に助かっただけとも言えますが。


 いろいろと恥の多い、いや、恥で構成された、むしろ、恥が服を着て歩いているような僕ですが、後悔だけは捨て置いてきました。両親との別れは後悔との別れでもあったと思います。


「今、この瞬間に死んでもいいと思える」


 これが一生に一度のサヨナラを経験して確固となった僕の初心です。だから、会おうと言ってくれる友達には距離があっても会いに行く。会社を休んでも行きたかった場所に旅行に行く。他人なんて二の次だ、自己中最高。そう思っています。そう思うと、失敗しようが、不本意な結果になろうが、落ち込むだけで後悔は少なくなった気がします。そうしようとした自分のせいですからね。正しいかどうかはわかりませんが、今のところは良い感触です。


 ただ、その初心すら、すぐに忘れてしまうのが難点ですね。

 

 だから忘れないように書いているんだな、この備忘録を、と今思いついたことをカッコよく書いてみます。正直そんなことつゆほども思っていませんでしたが、書いてみるとそんな気がしてきます。人間の脳は後から記憶を改竄しますからね。監査法人もびっくりの改竄能力ですよ。


 話が脱線しましたが、「今、死んでもいい」という初心を達成するために大切なことの一つは「言いたいことを言う」だと思いました。慎重を喫して石橋を叩き壊してきた僕にとってはこれはかなり難しい行為の一つです。

 

 それでも、カクヨムという媒体を通して、僕は「言いたいことを言う」という大切さを噛みしめています。僕の考えは自作品の様々なところに顔を出しています。物語を通して言いたいことを表現しています。エッセイなんて言いたいことそのものですし。


 僕は若造とおっさんの合間を彷徨う20代後半という年齢ですが、不慮の事故で(苦しまず)に死んでしまうなら、それもしょうがないと思います。後悔はあんまりありません。1年前から出来ることはやってきたかなぁ、と思います。付き合ったことはあっても相思相愛になったことがない、というのは後悔に入りますが、まぁ、来世頑張りますよ。それがだめだったら来来世ですかね。


 皆さんはいかがでしょうか。


 もちろん、嫁子供を置いて死んでられん。とか、憧れのあの人と結ばれるまで死ねません。とか、温めてきたこの長編大作を完成させるまでは死ねない。とか色々あると思います。


 でも、「言いたいことを言う」ことはよほどのことが無い限り良いことだと思います。特に良いと思ったこと、申し訳ないと思ったこと、そして、ありがたいと思ったこと。これらは百利あって一害無しです。ぜひ、言ってあげてください。


 自分の心残りを少なくすること。


 これは幸せにつながることだと思います。


 まだ伝えられる相手がいるなら、言ってみるように心がけたいです。








 最後に。


 一人で家庭を支えてきた姉に。


 母は息子びいきでした。理不尽なほど、僕には甘かった。

 父はかなり放任気味でした。お酒でかけた迷惑の後始末も姉がやりました。

 それでも、一人で両親の面倒をみてくれていました。


 弟の僕を金銭的、精神的にいつも助けてくれました。


 僕の人生を支えてくれている姉に。

 僕の大切な唯一の家族である姉に。


 いつもありがとう。


 そう伝えようと思います。


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