色も形もばらばらの色紙でさえ、並べていけばそれは綺麗な模様に見えるだろう。記憶もまた然り、だ。

数年前に、一番の友人が事故で亡くなった。その日から、私はみんなに嘘を吐くようになった。嘘で塗り固めた偽りの自分を身代わりに、緩衝材にしていた。

そのうち、その嘘は記憶に裏打ちされた。造り出したでたらめな過去も、記憶として残っていた。ミュンヒハウゼン症候群のつもりで言い触らしていた嘘は、現実になった。

その時私は気が付いた。初めから、偽りの自分なんて居なかった事を。それは本当の自分と何ら変わりのない事を。

少女は孤独の中で、嘘を吐き続ける。

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