詣
縁切り神社の鳥居をくぐった時、懐かしい声にふと足を止めた。
「久しぶり!」
そう言って僕の元彼女はけらけらと笑った。
「何しにここに来たの?まさか私と同じ?そんなわけないか」
彼女は参詣の途中、延々と僕の隣で話し続けた。明るすぎる声がきんきん響いて荘厳な神社に似つかわしくない。相変わらず耳障りな声だ。
帰りの鳥居をくぐるとき、僕は泣きそうになった。彼女は相変わらず陽気に僕の周りをちょこまかと動き回っている。
「あれ?もう帰っちゃうの?」
「死人に口無しとは言うけど、お前は死んでからも相変わらずだな。全く。さっさと成仏してくれよ。」
そう言って一方外へ出ると、彼女は笑顔のまま「また来てねー」なんて言いながら、景色に溶けていった。
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