例えばものを食べる。風呂に入る。呼吸をする。その一つ一つの行為をする度、身体からの“生命活動を維持しますか?”という質問に承諾しているような気がして、やりきれない。希死念慮を抱き始めたのはいつからだろう。ビルの外階段を昇る時なんかは、外を見る度に承諾を繰り返している。風呂に潜ってみた時も、承諾に迫られ水面に顔を出す。例えば、交差点。大通りを流れに則って往来する車たちは、全てが例外なく個々の目的のために動いている。それを考えただけで、何だか悪寒がする。自分以外の人間が意思を持っていることが、たまらなく怖いのだ。哲学的ゾンビ、というものの存在の証明を何度願ったか。けたたましい警鐘が聞こえる。身体を前のめりにし、一歩前へ。心音、冷や汗、涙、その全てが惨めで、鮮やかだ。僕は、初めて、その質問を拒否した。

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