骨
彼を目の前にすると、まるで言い逃れの出来ないような、目で捕らえられているような感じがして、背筋が自然と伸びた。出かかった声は喉でつかえて、線香の匂いと共に腹の中でぐるぐる渦巻いている。濁りのない双眸でこちらを見据える彼の写真の前には、小さな陶器の壺があった。白い肌が淡く光る、それはそれは可憐で矮小な。そんなに小さく壺の中に収まってしまうような、彼だったのだろうか。そう考えると胸の奥から真っ黒な何かが込み上げ。私の喉をゆっくりと広げていった。私の暗澹たるその感情も、守れなかった後悔も、何もかもをそこに詰めて、海にでも投げ捨てられたら幸せだろうなと感じて、咽び泣いた日曜の昼下がり。
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