「SFはちょっとハードル高いなあ」━━カクヨムワールドにはそんな読者さんもいることでしょう。実は私もそうなのです。でも、『エリクサー』は大丈夫。物語の入口となる扉は大きく開け放たれ、その先に広がる景色も心に馴染んだものばかり。気がつけばごくあたりまえに作品世界の住人になっています。
とても良い意味でのライトなSF。そして、青春小説の顔も持っているのが、『エリクサー』の魅力のひとつです。
アニメやラノベに出てくるサークル活動は、運動系より文化系の、それもちょっと変わった、でも面白そうなものが多いですよね。この作品の主人公が所属するのは『事象研究部』(学校のみんなからは『オカルト研究部』と呼ばれている)。どんな活動をしているかはお話を読んでのお楽しみとして、美人部長のもと、個性的な面々がそろってわちゃわちゃがやがや、読んでいて「私も仲間になりたい!」って憧れてしまいました。
そしてそして、読者をライトで楽しい空気でくるみつつも、AIや日本の抱えた社会的な問題、他国との関係や……。現実にしっかり根を下ろしたテーマを扱うハードな顔も、見せてくれます。これが三つ目の魅力。
このレビューで私の作品愛が伝わった方は、ぜひご一読ください♡
あ、あと、どんでん返しを愛する作者さんらしく、ラストはちょっとびっくりな秘密が読者にだけ打ち明けられます。なかとさん、私、ラストに出てきたこの人が協力者かなと疑ってたんですよ。でも、真実は……なんと! そんな!
真実を知りたい方は、ぜひ本編を!