第3片 暗闇の魔女⑥

 朝、彼女が眠そうな顔をして、リビングに入ってきた。

 私は、自分の思いを、願いを隠す。憧れの彼女ではなく、目の前の彼女を受け入れ、挨拶をする。


「おはよう、つぐみ」


 彼女を取り戻すための、正義のための1日が始まる。





 今日も『つぐみ』になり、リビングに入る。

 朝食を準備してくれた彼女が優しい口調で、私の名前を呼ぶ。『ツグ』を求めていたはずの彼女の変化。私もそれに応え、言葉を変える。


「おはよう、莉乃」

 

 私を取り戻すための、偽りの1日が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る