根の国での再会
洞窟宮殿を思わせる入り口。
ただ、その先は別空間になっているのだろう。そこには漆黒の壁がそびえ立つ。だが、時折揺らぎを見せるその壁は、結界のようなものなのだろう。
招かざるものを寄せつめぬためか、中から出ることを拒むためか。
その時、階段の脇にある空間が、まるで波紋のような揺らぎを見せる。そこから淑やかに出てきたのは、間違いなく巫女装束の女性だった。
「
駆け寄り、その胸に飛び込む
「まあまあ、
慈愛の瞳で末の妹を見る彼女は、女性らしさにあふれていた。そしてそれはもう一人近くにいたものを刺激していた。
「おお、貴女こそ巫女の中の巫女。神々しいまでの気高さ。母神と見紛うまでのその母性。すばらしい! いや、失礼。僕は
両手を広げ近づく
「まあ、
苦痛にのた打ち回る
「はい、
「そう、よかったわ」
「いや、ちっともよくない! 痛いじゃないか! 何するんだ!」
抱き合った
「
それはまるで汚物を見る視線。無表情の
「まあ、
近くに来る
「いや、おかしいだろ? いや、いや、おかしいだろ? 今のは、どう考えても話しじゃないだろ? 侮辱だろ? どう考えても、喧嘩売ってるとしか思えないだろ?」
必死に訴える
「おかしいとは何事ですか。では、仕方ありません。一応回復はしてあげます。その代り、一回死んでください。ああ、でも私、まだ蘇生術ができません。ですので、出来るようになったらまた来ます。それまでは、
さらに蔑んだ瞳を向ける
「すごく仲がいいのね。羨ましいわ」
「どこが!」「そうではありません」
すぐさま飛び込んでくる否定の言葉。だが、それさえも
「ほら、息もぴったりよ」
その言葉に、結界を挟んで視線を戦わせる二人。だが、そのやり取りも、近づく男の言葉で終わりを告げる。それまであった和やかな雰囲気と共に。
「朋読の巫女姫、十二神将の
強面の顔を更にこわばらせた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます