第四章 伊邪那美宮
その後に続く者
しかも、その護衛の任についているのは、出会いの酒場で幾度も目にしている顔が混じっている。向こうも
「そんな顔するなよ、お嬢。アイツ等だって志願してきたんだってよ。お園が言ってたぜ。お嬢の行動が、皆の意識を変えたんだろうって。なんにせよ、無関心だったアイツらが、ここを守る意思を示すきっかけになったのはお嬢の心意気ってやつだよ。まあ、正直今更って気は分かるぜ。だがよ、アイツ等が気にくわないのは分かる。だが、間違いを認める勇気だけは認めてやりな。でないと、ここからあふれる根の国の住人から、現世を誰が守るんだ?
その言葉は、
そして、始終黙ったまま、
***
天文院が作った地図に間違いはなく、
だが、何よりもその包みが秀逸だった。見た目は小さな包みだが、中には高位の術が施されている。その包みよりも大きいものさえ、難なくそこに入っていった。最初驚き、感動した
そして包みには、目薬の他にも高価な品が入っていた。
その中でも強壮薬と呼ばれる物を見つけた
通常一般に出回ることのないその秘薬を、
そして、もう一つ。
「あったぜ、こっちだ。こっちから向こうに続いている」
「ちょっと遠回りじゃないか? 地図だとたしか、あっちの樹に向けて歩く方が近い気がするが?」
「やめとけ。アイツが意味なくここに
亡者ひしめく根の国で、最小限の戦いだけしか行わずに。
***
「何なの……。これって……」
その場所についた途端、
数多くの屍が、それを中心として広がっていた。屍の中心に立つそれは、地獄絵で描かれる閻魔大王のような姿。
だが、その体には多くの傷が残されている。胸を袈裟懸けに切られた大きな傷跡、そして衣服の切れ目から見える焼け焦げた肌が、そこでの戦いの激しさを物語っていた。
しかも、立ったまま絶命しているのだろう。その姿からはすでに魂は抜け落ちている。両腕は切り落とされているものの、決して膝をつかなかったに違いない。死してなお、その猛々しさを現すように。
「なあ、あれって……」
「
ただ、それは誰の眼にもとまらない。その言葉の真意を得るために、全員が
いきなりの注視はやはり苦手なのだろう。少し挙動不審に見えた
ただ、それもすぐに終わる。さっきの動揺を落ち着かせた
「この僕が知るわけはないだろう? 第一僕は
明らかに目を背ける
「お待ちください、陰陽師様。そこから先は、死の迷宮。案内無しでは、たどり着くことすらできませぬ」
その行く手を遮るかのように、涼やかな声が聞こえてくる。その聞き覚えのある声に、
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