桃の回廊1
「お嬢、そろそろ機嫌を直したらどうだ? アイツも悪気があって言った事じゃないだろう? それとも別の事に怒っているのか?」
自分のすぐ左隣を歩く
「でも、アイツのいう事は一理あるぜ。
「うるさいわね。わかってるわよ、そんなこと」
説教めいた
「
「はい、
無表情で割って入る
気勢をそがれ、黙る
その事がわかっているのだろう。
「
「事実でしょ? みんなだってそう思わない? 『見えないから危険』とか言っておいて、『見える薬がある』なんておかしいじゃない? それなら先に出していれば、あんな喧嘩しなくて済んだのに――」
少し頬を膨らませ、
それを瞬時に感じた
「ほほう。では、
無表情な顔で覗き込むように見る
「ねぇ、
「だましたわね――」
「どうした?
「あっ、ごめんなさい」
それは反射的なものだったのだろう。自分が誰かにぶつかった為にでた
ただ、ぶつかった拍子にバランスを崩したのだろう。ぶつかった
「問題ない。謝らなくていい。それよりも大丈夫か?」
握られたその手で、
「しーらーぎーくぅ?」
「よかったですね、
怨嗟にまみれたその声は、根の国の住人もかくやといったもの。だが、それは
だが、
「見つけた。かなり距離があるが、ここをまっすぐに行ったところだ。そこに幹の途中から二本の樹がよりそって、一本になったような巨木の躯がある。その根元に一人の巫女が隠れている。幸い、まだ見つかっていない。だが、それは気配がかなり弱っているからだろう。さらにその先から巨大な力が迫ってきている。おそらく
それはそれまでの雰囲気を脇に置き、一瞬で塗り替える力を持った言葉だった。
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