報告2
その部屋に入った瞬間、
だが、それは無理もない事だろう。
その場にいるのはこの街を代表する大人たち。しかも、一人は自分の父親といっても、神主として厳しく教えられた師匠でもある。いつになくしり込みし、入口で佇む
「失礼します」
それは
「
「はい。根の国がこの世を支配しようとするのは、
一点の曇りのない翡翠の瞳に、力強い光が灯っていた。その瞳を向ける先は、厳格な光をその奥に秘めた同じ翡翠の瞳。押しも押されもせぬその雰囲気は、周りの人間にも沈黙を強いていく。
ただ、一人を除いては。
「心がけは立派だが、お嬢ちゃん。オマエにそれが出来るとは思えんな。相手は
「当たり前です。アタシは……。アタシ一人じゃ多分何もできない。
「心配するな、お嬢。そう言うだろうと思って、他の奴らの気持ちは確認済みだ。
「えっ……」
言葉を濁した
「
それは
何を言うべきか悩む口が、伝わらない声を伝えようとしていた。だが、その前に、それを形にする人物が横やりを入れてきた。
「
じろりと睨む
「察するって、どういうこと? アナタ、あの時に会っただけじゃないの?」
「ああ、そうだ。あの時だけだ。だが、わかる」
「それって、どういう……」
「奴の行動を考えてみるんだな。あの時、奴は
そこで一呼吸置いて見つめる破戒僧。その顔に、
「ワシの攻撃を阻止して、ワシを撤退させるためだけに、
豪快に笑う破戒僧。その言葉に、
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