幕間
報告1
朋読神社の一角にある、光魔殿。以前とは違う部屋に、今度は最初から六人の男たちが座っていた。
座る位置は以前とほぼ同じ。上座には
それは紛れもなくあの破戒僧。今はその手に何も持っていないが、その存在感はこの場にいる誰もが感じているものだった。
そして、
「ご苦労だったな、
その地図をもう一度目にして、
「なに、これほど精密な地図を用意できる天文院にこそ感謝すべきであろうな。これこそ、かつての戦いの成果であろう。根の国に降り、彼の者を封印した時にこのようなものをこしらえていたとは……」
坊主頭をぴしゃりと打ち、
「いや、そうではない。これは、たゆまぬ調査の結果だと言っておこう。だが、それよりも話題にすべきことがある。この地にまさか、神人にも匹敵する十二神将の一人を呼んでいただいた
互いに互いの功績を認め合う。美しい光景が作られている。だが、この場の誰もが知っている。それは、表向きでしかない事を。だからだろう。盛大なため息を履いた
「で、そろそろ本題に入ったらどうだ? できればオレは、一刻も早くその男と同じ空気を吸うこの状況にサヨナラしたいんだが?」
「そういうな、
まるでなだめるかのように、
「ああ、間違いない。だが、アイツは術を使った。ただそれだけのことだ。確かにあの威力はすさまじいものだ。
一気に話した
「
心底疲れはてた様子の
だが、それは幻かと思えるほど、次の瞬間には元の厳しい顔つきが座っていた。
「十二神将の
だが、後ろから聞こえる規則正しい呼吸の音に、ついに和尚の何かが切れていた。
「喝ぁあっつ!」
いきなり立ち上がり振り返ると、素早くその耳元で大音量の声を放つ。
まるで部屋が震えたかのような錯覚に陥るほどの大音声。
だが、それを放った本人は、そのまま何事もなく座っていた。
「十二神将の
再び同じ質問が繰り返される。だが、今度はさっきとは違い、目覚めの悪さを隠そうとしない声がそれに応じていた。
「ちっ、相変わらず、うるさい声だな。ああ、あれはカミツキだな。間違いない。しかも、驚くことに神人の中でもごく少数しかいない伝説級の装備を持っているという事だ。そして、アイツの装備は全て神人の中でも達人級の職人の手によるものだ。おそらく他にも色々と珍しいものを持っているだろうな。何より、それに見合うだけの実力もある。そもそも、戦いになると目の色が違う。アイツはワシと同じで戦いの中でしか己の価値を見つけられぬ男だろう」
耳の穴をほじりながら話していた
「目の色が違うか……。確かに、報告ではそうだな。強さは
「そうか……。ならば、私も娘に聞くとしよう。
組んだ両腕をほどきながら、
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