青龍との戦い4
だから、
回復術で光る
少年の真紅の瞳が見つめる先で。
おそらく竜人は何が起きたのかわからなかったことだろう。血しぶきを吹き上げる体と水に沈んだ竜人の首。その首が、まだしばらくは詠唱を続けるように、沈んだ水の中で口を動かしていた。その声にならない詠唱の終わりに、素早く
その瞬間、激しい地響きが洞窟を激しく揺らす。まるで何者かの到来を告げるかのように、水柱が青龍のいる小部屋から湧き上がっていた。一瞬消える青龍の姿。だが、次の瞬間に青龍は、何もなかった姿をその場に表していた。
まさにその瞬間。雷鳴を轟かせながら、雷をまとった影がその青龍に向かって飛び込んでいく。
再び起こる水しぶき。それが治まるのと同時に、その姿を全員に見せていた。
青龍の喉に喰いつき、その体から雷を青龍に突き刺していく雷獣の姿を。
苦悶の声をあげる青龍。しかし、それは別の声も伴っている。
「
悲鳴に近い
青龍のいる小部屋は、天井こそ高いが周囲は壁に囲まれている。そして、もともと水が浸入しないように、くびれた部分は岩がせり上がって天然の防塁となっている。だから、一度小部屋に入った水は、容易には抜けきらず、しかもかなりの水をそこに蓄えていた。
そこで雷を周囲にまき散らす雷獣と青龍が戦っている。当然、近くにいた
「全体完全回復!」
だが、
その術がもたらす効果は絶大といえるだろう。傷つき、倒れ掛かった
倒れている体を片手で支え、持ち直す。しかも、倒れる力を利用して、一気に小部屋から抜け出ていた。
「轟雷術・極み!」
それはまさに間一髪の出来事と言えるだろう。飛び込むように小部屋から出た
絶命を告げる叫びが、さらに後退した二体の魚人としびれたまま動けなかった竜人から同時に上がる。肉の焦げるような臭いが漂う中、怒れる青龍がそのしびれた体を無理やり引きずって小部屋から出てきた。鱗は傷つき、かなりの手傷を負っているのがよくわかる。ただ、召喚された雷獣は、すでに消えていなくなっている。おそらく青龍によって倒されたのだろう。
ただ、地面を這いずるその姿は、最初の威厳は感じられなかった。まるで別人のように。
「愚かな人間ども! 我が一族の仇を討ってくれる!」
その瞬間、
しかも、それだけではなかった。青龍はなおも前に這いずっていく。
「術と攻撃が同時に!?」
見開く
あまりにもありえない事が起きている。その事実は、そこにいる全員の行動を
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