青龍との戦い5
戦闘行為という人間の行動。それには動作と時間が密接に関係している。一つの行動が完了するには、一つの動作とそれが完了するまでの時間が必要となる。それがそろって初めて行動の結果となる。
言い換えてみれば、完了していない動作中に、異なる行動はできないという事だろう。
例えば、
ただ、何事にも例外というものが一つある。それが『詠唱破棄』という状態。
それを考えると、
この世界は、そういう法則で動いている。
つまり、一つの個体が全力で攻撃している
そして、それは人間だけの法則ではない。
この時、誰もがそう考えていた。
だが、目の前の青龍はすさまじい攻撃を繰り出しているにもかかわらず、あの独特な術の詠唱と言える旋律が聞こえてくる。もはや、
しかし、その事は、この世界の
しかも、その効果は着実に出始めている。さっき見た術と同じ現象が起きている。
つまり、詠唱そのものが終盤に差し掛かっている証しである水球の出現。次々とそこ集まり出す水。その水球の内部は、さっきよりも激しい勢いで渦巻いていた。
もし、今あれが発動すれば、その場にいる全員が死ぬかもしれない。焦る気持ちが、より一層全員の混乱に拍車をかけていく。
「止めないと!」
たしかに青龍の体は傷つき怯みはするものの、不思議とその旋律は止むことはない。むしろ傷つき戦っている青龍は、何処か誇らしげだった。
「くそ! どうなってんだ!」
「とにかく! とどめだ!」
ここに至って初めて、
そう、いくら攻撃しても青龍が死なないという事実に。
それほど青龍を守る障壁は固く、生命力は大きかった。
その事実が、普段の
「急げよ、武士! おい! あの
何度目かの轟雷術を完成させた
やがてそれは実を結ぶ。水球がさっきよりも巨大になる頃、ついに青龍は地面にその体を伏せていた。
ただ、その言葉を残して。
「愚か者め。真実を見極める目のない者ども。青龍様を傷つけた報いをうけよ」
ニヤリと笑ったその顔は、とても愉快といった感じだった。それと共に、地面に伏せた青龍の体は、煙のようなものに包まれていく。それは一瞬にして
その時、
「なぜ! なぜ消えないの!」
だが、その次の瞬間、水球がいきなりはじけ飛んでいた。すさまじい量の水が、衝撃と共に爆散する。
それは、それとほぼ同時に起きた出来事。
洞窟を震撼させる音に続き、何かが落ちてきたような水柱が上がっていた。
そこにいる誰もが感じた揺れと共に。
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