諍い
「いや、待て! 待つんだ!」
そのまま帰ろうとする
不用意な注目は、彼の得意とするものではないのだろう。しかも、『自らが口火を切ったことに後悔してる』という顔がそこにある。だが、それでも呼び止めた以上、何か言わなければならない。彼の中での葛藤が、その苦悶の表情によく表れていた。
だが、
「何か用か? クズ、リュウ」
「やはり失敬だな、君は! 僕は
「だから、そう呼んでいる」
心底不思議そうな顔を見せる
「ふん、君がそんな態度を取っていられるのも今のうちだ。ここでは言うまいと思っていたが、言ってやる。少年、君はやはりカミツキだ。その年で、あまりにも常軌を逸しているその強さ。どう考えても、君は普通の人間じゃない。
指をさし、勝ち誇った顔を向ける
「すまない。俺自身の強さについては、自分でも分からないから何も言えない。だが、青龍の宝珠は
苛立ちを見せる
その言葉に、様々な反応が見えていた。言われた
「
そう言いながら、横から
「何が言いたい? 生臭坊主」
「なに、大したことではない。正しく物事を見るには、私情を捨て去れと言いたいだけだ。自慢の術を披露できたのはいい。だが、その
だが、
「ふん、それを君に話す必要はない。だが、紛れ込ますのは君だろう? その荷物に偽物を用意しているのは知っているよ。僕を陥れ、自分を信用させる。そして油断をついてだましとる。僧兵の恰好をしながら密教僧である君なら、嘘も得意だろうしね。でも、これだけは言っておく。どんな状態であっても、青龍を倒したのはこの僕の術だ。これは事実だよ」
互いににらみ合う
だが、そのにらみ合いもすぐに終わりを迎えていた。
「まあ、言いたいことは山ほどあるけどね。
不毛な言い争いに終止符を打つ
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