戦利品
青龍の躯を押し潰している岩石は、容易に取り除くことはできない程降り積もっていた。そこをしばらく観察していた
だが、目当ての物は見つからなかったのだろう。肩を落とした彼女は、振り返って全員に告げていた。
「さあ、アナタ達も手伝って。この岩をどけるわ」
疲れた顔を魅せながらも、その瞳には強い意志が感じられる。だが、それはそこにいる者たちにとって信じがたい言葉だった。
「って、待て。待てよ、お嬢。これをどけるのか? 今から?」
驚きを隠せない
その事を感じたのだろう。
「今からよ。今すぐよ。青龍を倒した証として、青龍が持っていた宝珠を持ちかえらないといけない。それに、宝珠がないと封印が解けないでしょ? この周りをいくら探しても見当たらない。そうなると、青龍の宝珠がこの岩の下にあるって考えるのが妥当でしょ?」
「いや、いや、いや。なあ、お嬢。『妥当でしょ?』って軽く言うなよ。これだけに岩だぜ? 俺たち全員でやっても一日や二日でどうにかなるはずがない。青龍の頭はそこにあるが、肝心の腕が見当たらない。その部分は特に大きな岩が乗ってるんだぜ?」
「じゃあ、どうしろって言うの? そうしないとダメなのは
なだめようという
「それでは、拙者が一走りしてこよう。近くの村々で
「ああ、
それは、そこにいる面々を考えてのことだろう。しかし、そう言った後に
すぐ近くであがる小さな声。だが、それも気にせずに、ただ小声で『急いでくれ』と
しかし、
「青龍の宝珠は俺が持っている。戦利品だ」
言葉を失いながらも、
「どうだ? お嬢」
「碧い水晶球。独特の輝きがあり、中には水の流れのようなものがある。間違いないわ、
背中からの問いかけに答え、覗き込んだその顔をあげる
「アナタ、いつこれを?」
「先に奴の腕を切り落とした。その時に確保しておいた。これは必要なものなのだろう?」
予想外の行動に、
しかし、そんな態度を気にした様子もなく、
「どうした? 次に行くのだろう? 四神はあと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます