青龍の洞窟4
いきなり立ち上がったその姿に、皆が驚きの目で見つめる。それを心地よく思ったのだろう。満足そうに頷いた
だが、それよりも自らの宣言の方が大事だと気付いたのだろう。仰々しく振舞いながら、未来を語って聞かせていた
「いや、ここはこの僕が華麗なる陰陽師の術を披露しようじゃないか。相手は狭い場所にいるんだ。連続して広範囲術をたたき込み、一気に片付けてしまおうじゃないか。僕は炎術が好きだが、雷術も得意だ。あとで雷獣も召喚しておこう。巫女にも風術があるよね? 君も適当に使えばいい。でも、この僕にかかれば、狂った竜などたやすいものだ。そうだろう?
宣言前よりもさらに満足しているのだろう。ことさらに
そして、もう一人立ち上がる。一体何を考えたのか、左手の籠手を外し、法衣の袖を捲し上げて。
「拙僧は特に異存はない。だが、そこの自信過剰な陰陽師の言うように、拙僧は僧兵ではなく密教僧なのだ。肉弾戦は得意としておらんが、求められるなら応じるだけの鍛錬はしておるぞ。技は無いがな」
自らの筋肉をことさらに強調する
だが、
その怒りの視線を尊大に受けとめた陰陽師。見下す視線をそのままに、
それはさらに
「アナタ聞いてなかったの? 近接戦闘主体でいくって言ったじゃない。明らかに敵は、術攻撃を仕掛けてくるの。わかってる? 術阻害をしながら、戦わないといけないの。わかってる?
元々身長差のある二人。だから、
だが、その視線を真っ向から睨み返す
二人のにらみ合いは、いつ果てることなく続いていくかに思えた。だが、時間は容赦なく過ぎていく。ここに張り巡らされた
その時、今いる場所の風景が徐々に元の姿を取り戻し始めた。
「さあ、そろそろいい頃合いでござろう。
素早く
「ではいくぞ。手前の大岩で集合だ。お互い見えないだろうが、壁際を進め。ゆっくりでいい。静かにな。音を立てて近づけば、気取られるやもしれぬ。
――もし、それぞれに
まさにその時、洞窟を徘徊している物の怪が近くを通り過ぎていく。だが、物の怪も何も見えていないのだろう。しばらく行ったところで引き返し、再び彼らの前を通り過ぎる。
もはや、
いや、正確には返事する時間はあった。だが、それよりも
残された小さく突き出た洞窟の曲がり角を、
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