出会いの酒場2
「信じられないわよ! せっかく運んであげたのに! 死んだから仲介料は五倍だなんて! お園さん、絶対いい死に方しないわ!」
黒装束の少年が座っている隣の椅子に、巫女姿の少女は勢いよく座り込む。カウンターでの会話を憤りつつ、簡潔にその場にいる人たちにその内容を告げていた。
「まあ、お嬢。それが世間ってもんだ。持ちつ持たれつ。あいつら、家族がいたらしいじゃねぇか。そんなこと一言も言ってなかったけどな」
さらにその隣に腰掛けた筋肉質の大男。長い金髪を後ろに流して席につくと、ため息交じりにそう告げていた。そうしながらもその手は目の前の酒へと向かう。その様子を見ながら、巫女姿の少女は憮然とした顔でテーブルに頬杖をつく。普通の大人が見れば、行儀が悪いと一喝されそうなその行為。だが、そんな様子を大男の方は気にもしていない。一度注いだ酒を天に向け、そのまま一気に飲みほしていた。
「
「ん? 別に?」
「まあ、いいわ。それより、それって、弔い酒のつもり?」
その顔と酒を交互に見て、少女は
「ん? まだまだ、お嬢には酒は早いぜ。まあ、年上に敬意を払えるようになったら、飲ませてやるよ。もちろん、その時は
だが、その手は軽くあしらわれる。悔しさを全身で表す
「申し訳ござらぬ、
立派な武士が、巫女の少女と大男に対して勢いよく頭を下げる。一本にまとめた長い黒髪が、それにつられて軽く踊る。それはとても清々しい態度。それを見た
「べっ、べつに、
「そうです。
ただ、それを見るものが見たらわかるだろう。それは行商人の背負うものではなく、
表情を変えずに、淡々とそう告げた青髪の少女。彼女はその見た目に似合わず、一人前の
「でも、今はその相手がいないから、どこに持っていけばいいか分からないだけです。
ちらりとその髪と同じ瞳を
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