青龍の洞窟1
まだ昼間とはいえ、洞窟の中は日の光が入らない。一歩でもそこに踏み込めば、そこは別の世界となるはずだった。暗闇に狭い通路。一般的に洞窟と言えば、そう考えることだろう。
だが、この洞窟はそうではない。一体どうやって出来たのかはわからない。まるで人の手で作り出されたかのようにも思える洞窟。しかし、ここにはその痕跡は一切見あたらない。
ただ、七人が適当な間隔をあけても普通に歩けるほどの大きさ。遭遇する敵と戦っても十分な広さ。しかも、ほのかに光る洞窟の壁――所々ある光る岩と光る苔がその源となっている――が照明の役割を果たしている。
そこは洞窟というよりも、戦うための通路。まぶしくもなくほのかに暗いそこは、まるで独特の雰囲気を出すように設計されているようだった。
時折、遭遇する敵を戦いつつ、その場所にたどり着いた
かすかに吹き込んでくる風は、そこに外の世界とつながる所があることを示している。だが、それだけではない。圧倒的な何かの気配が、その先から漂ってくる。『安易にその先に進むべきではない』と誰もがそう感じるであろう境界線。
その場所に大岩に囲まれた場所があった。
周囲に比べて薄暗い曲がり角。そこはどこか他と違う雰囲気を持っている。でも、そこを怪しむものはいない。時折洞窟を徘徊してくる――どこからわいたのかわからないが――
そこにあるが、ただそれだけ。まるで、無意識にその場所を意識の外に追い出す仕組みが働いているかのように、誰もそこを注意深く見ようとしていない。
だが、その場所が一瞬揺らぎを見せていた。まるで、そこに見えない壁があるように。
その揺らぎは、まるで水面に投げた石が描く波紋のよう。ただ、それはほんのわずかな揺らぎでしかない。そして何事もなかったかのように、見えない壁は元の雰囲気を見せていた。
*
「どうだったの?」
待ちきれない様子の少女の声は、誰もいないところに向けられていた。少女のいる場所はあの見えない壁の向こう側。そこは、岩に囲まれた小部屋のようになっている。その場所には、五人がくつろぐ姿がある。見えない壁の揺らぎは、そこにいる者達にははっきりと見えていたのだろう。だが、やはりそこには誰の姿も見えない。
「姿を見せて。早く答える」
やや苛立ちを見せた
だが、それは杞憂に終わる。
「アタシは
ちょうど今、六人が楕円を描くように座っている。立っている
一人立ったままの
「僕の陰陽結界と
あくまでも尊大な姿勢を崩すことなく、そう告げる
忌々しそうに見つめる
大まかに書いたその地形。それが終わるとその中に、大きさの異なる石を並べ始める。一つ一つ、その石と見たことを結びつけながら。
その話に一切の無駄は無い。見たままをそのままに告げていた。
「ただ……」
最後に青龍の姿を説明したあと、何故か急に口ごもる
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