新たな仲間2
待つ時間は、時に長く感じることがある。特に、耳の痛い話を聞いた後の時間はそうだろう。
普段の様子から考えると、明らかに
互いに顔を見合わせる
これはそっとしておくべきだろう。暗黙の内に、皆がそう判断したに違いない。次第に会話の中心から、
だが、実際には、それほど長い時間ではなかった。
酒場に入ってきた二人の男。一人は薙刀をもつ筋肉質で
だが、そもそもその組み合わせだけで共にいるというのが不思議なのだろう。
一瞬で酒場の空気を刺激したあと、あちらこちらで
それで納得したのだろう。酒場の空気は、元の喧騒へと
店に入ってきてからその時まで、周りの雰囲気をいっさい気にしなかった二人組。その者達が来ることは、お園は知っていたのだろう。二人がカウンターの真ん中に来ると、端にいたお園の方から近づいていた。
それは何かの確認だったのだろうか?
さらに一歩前に出た僧侶は、お園と短く言葉を交わしていた。その後ろで一人話し続ける陰陽師を無視して、お園は
自らの目的地を確認できたからだろう。手を合わせて丁寧に礼をした僧侶は、陰陽師に軽く声をかけて歩き出す。だが、それもほんの数歩で終わりを見せる。彼の歩みを止める者がいたために。
彼のすぐ後ろから、お園に話しかける声が聞こえる。その声を聞いた僧侶は、肩をすくめて振り返っていた。そこには、まだ何かを話し続けようとする陰陽師がいる。
その顔に、振り向きざまに向けた
ほんの短い言葉を添えながら、切っ先を顔のすぐ近くまで突きつけていた。一瞬、驚きの目を見開く陰陽師。だが、それもすぐに元の顔に戻っていた。
その切っ先を扇子でそらし、彼は鋭く僧侶を睨む。
一触即発の剣呑な空気が流れようとしたその時、お園が
再び僧侶は礼をする。だが、お園はそれすらも面倒事であるかのように、追い払うかのような仕草を見せていた。
そして、二人はそこに向かう。壁際にあるそのテーブルには、和やかに語らう三人と沈黙の二人の姿があった。
***
おそらく、
その気配に小さく反応した少年の様子を、
「よう! オマエらがそうなのかい?」
体をのけぞらせて、そう声をかける
「ああ、君がここの代表かい? 僕は
視線を
だが、俯いたままの少年は、何の反応も示さない。それが面白くなかったのだろう。鼻を鳴らした陰陽師。そのまま少年から視線を流し、青色の髪をもつ少女に向けられていた。
彼からすると、ちょうど彼を見上げるしぐさに見える
「なんだい? 君は? 僕はそこのお嬢さんに挨拶がしたいのだよ。これから苦楽を共にする仲間となるのだ。当然の事ではないかな? 見た所、彼女は
「なんだろうね、まったく。これだから武士ってのは――」
「一つ言っておくわ!」
薄い苦笑いを浮かべた
「ここの代表はアタシ。そして、アナタを雇うかどうか決めるものこのアタシよ!」
咳払いをして、改めて指さす。そこには、喜色満面の笑みを浮かべて迎える陰陽師がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます