勇者になって3周年

ソーヘー

転生するならチート系だろ⁉︎

「リーダー‼︎今日の旅はここまでにしましょう」


「そうだな...よし!今日の旅はここまでにしよう」


俺はこの大陸を支配する魔王を倒すべく、

勇者となって一人で旅を続けていた。その道中では様々な仲間との出会いがあり、いつしか俺はパーティーを組むようになっていた。


今日も俺達は魔王を倒すべく、旅を続けていた。だが、疲れた体を癒す為に今日はもう休むことにした。

焚火に照らされながら座っていると、仲間の一人が呟いた。


「魔王なんて本当に倒せるんですかね...」


「バカ‼︎リーダーの前でそれは言うんじゃねぇ‼︎」


「いいんだよ、そう思うのは当然だ」


俺は仲間を咎めはせずに焚火をずっと眺めていた。すると、その仲間は不思議そうな顔で俺に聞いてきた。


「リーダーはいつから勇者をやってるんですか?」


「3年前からだ...」


実は俺は元々はこの世界の住人ではない。いわば、転生者というやつだ。俺がこの世界に転生したのは3年前のある日、俺はなぜかこの国の王都で倒れていたらしい。俺は倒れていたところを助けてもらった訳だが、王様は俺を伝説の勇者と勘違いしたらしく、この大陸を支配している魔王の討伐を依頼してきた。当然、俺は伝説の勇者じゃないし、断わろうとしたが...看病してもらった挙句に報酬まで用意されては断れるはずもなく、仕方なく魔王を倒す勇者になるという依頼を引き受けてしまった。そのときは、この決断で後に苦労することになるとは知らずに...


俺が旅を続けて早くも、1年が経過した。俺のレベルは順調に上がっていたのだが...ソロだということもあり、高難易度のクエストには挑めずにいた。おそらく、よくあるチート系の主人公ならもうとっくに魔王なんて倒しているだろう...だが俺は違う‼︎チート能力なんて何もないし、仲間もいない。この頃の俺が一番焦っていたと思う。


俺が旅を続けて2年が経過した。流石に2年も旅を続けていれば自然と仲間が増えていった。高難易度クエストにも果敢に挑むようになって、だんだんと勇者らしくなってきた。多分、この頃に今のパーティーは結成したと思う。俺は魔王だって倒せると思っていたのだが...この油断が痛い目を見ることになった。


俺達はレベルを着実に上げていき、遂に魔王のクエストに挑むことにした。装備は万端、回復薬もありったけを用意して挑んだのだが...魔王との格の違いを思い知った。

手下のエネミーで仲間の大半はやられてしまい、魔王と対峙した俺も瀕死寸前の状態だった。そのときのあの魔王の余裕な表情は今でも忘れられない。魔王を目の前に俺達は何もできずに、クエストをリタイアした...魔王との圧倒的な実力差に絶望した俺は勇者を辞めようとしていた。そんな俺を止めてくれたのが、仲間の存在だった。俺は今まで仲間はクエスト攻略のために利用していたが、改めて仲間の大切さを知ることができた。


そして3年目の今、俺達はあれから成長して更にレベルを上げた。あのときの魔王への屈辱を胸に、俺達は成長できた。だから魔王を恐れている仲間がいるなら俺は自信を持ってこう言いたい。


「倒せるかじゃない...俺達が倒さなきゃいけないんだ」


「リーダー...そうですよね!いつかは倒せますよね?」


「今日はもう遅い...明日は早いから寝るぞ」


俺はメラメラと燃えている焚火の火を静かに消した。

勇者になって3周年、ここまでくるのに色々なことがあった。転生するならもっとチート系なのにしてほしかったと何度思ったことだろう。俺は努力でここまできた。3年もかかってしまったけど、今までの旅は無駄ではないはずだ。


「いつか魔王を倒すその日まで、俺はもっと強くなる‼︎」



俺達は魔王を倒すべく、今日も旅を続ける。




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勇者になって3周年 ソーヘー @soheisousou

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