学校2

教室の前まで来たけどいつもより中が騒がしいな。

なんかあったのかな。

俺が扉を開け教室に入ると一斉にみんなの目線がこっちに向いて来た。

何これ。

「隆太ぁ!昨日の、昨日の女の子は今どこにいんだよ!」

普段そこそこ落ち着いている智也も今日に限って騒がしいな。

「何、どうかしたの?」

「どうかしたのじゃねーよ!お前知らないのか」

俺が首を傾げるととヤレヤレと言った感じでスマホの画面を見せてきた。

そこには夏樹のニュースが出ていた。

確かに俺が昨日連れ回してたら気になるわな。

「この子、行方不明になってるの?嘘、あの後普通に駅で別れたよ」

「一番重要なのはな、ここだよ!」

どれどれ。

夏樹夕実さんの母親の夏樹緑さんが昨夜自分の娘に賞金をかけた。その額なんと、

「一千万!」

「あぁ。この子の母親すげー金持ちみたいだからよ自分の愛娘にはこんぐらいするらしいな」

なんだこれ。

一ヶ月ごとに賞金を百万増やすとも書いてある。

「お前は一攫千金のチャンスを逃したって事だよ。残念だったな」

「う、うん。そうだな」

まぁ逃してないんだけどね。

「でもなんで行方不明になってから3日目でニュースになったりしたんだろうな」

ん?

確かに令嬢が行方不明になればすぐにニュースになると思うんだけど。

しかもなんで賞金をかける必要があるんだ。

心配なのはわかるのが警察に任せればいいと思うのだが。

もしかして、

「警察を信用してない」

「なるほど。隆太ってたまに頭いいよな」

褒めてんの?

けなしてんの?

どっちなの?

「みんなー、おはよう」

担任の中原紗江が来た所で俺たちの話は終わった。

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