帰宅

俺の住んでるアパート「竜宮」。

築15年の普通な所。

いつもは帰宅してゲームするのが楽しみなのだが、今日はなんだか足が家に向かない。

学校から家まで行く間に3回もコンビニに寄ってアイスを買っていた。

だがしかしもう家の前だ。

後戻りはできない。

戻ったところでアイスが溶けるだけだ。

俺は恐る恐るドアを開けると。

「おかえりなさい!隆太さん!」

一千万が居た。

俺は外かはこいつを見られたら問題になると思いさっさと部屋に入りドアを閉めた。

っていうか、なんで俺のジャージ着てんだ。

ぶかぶかでサイズが合っておらず手が指の先っちょしか出てない。

「可愛い」

「えふぇっ」

どこから出したんだそんな声。

俺の言葉に照れたのか顔を隠してうずくまってしまった。

耳まで真っ赤になってる。

「可愛い」

「うへぇっ、……ん。もう、からかわないで下さい」

ばっと立ち上がり真っ赤な顔で言ってくる。

照れすぎだろ。

「ていうか、なんで俺のジャージ着てんの?」

「あぁ。お風呂掃除しようとしたら濡れちゃって」

そういうことか。

ジャージぐらい別に貸してあげてもいいけど。

「でも最近のお風呂用の洗剤って泡立たないんですね。びっくりしました」

流石お嬢様は違うな。

洗剤が泡だたない事……知らない……だなんて。

「おい、それになんて書いてあったか覚えてるか」

口元に手を当て「うーん」と思い出している。

「あっ思い出しました!確かバス◯リンって書いてありました!」

「この、お馬鹿一千万!」

入浴剤と洗剤を間違えるとか。

こいつとの生活は俺が思っていた以上にハードルが高い事が改めて思い知らされた。


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