学校1

夏樹を家に一人にして大丈夫だっただろうか。

いや、もう一回忘れよう。

学校にいる時ぐらい気楽に居たい。

俺は教室のドアに手をかけると後ろから肩に触られた。

そこに居たのは、

「優。どうしたの」

保険の先生の山中優(やまなかゆう)だ。

「隆太。少し来てくれ」

俺は優の後をテクテクとついていった。

俺はそのまま保険室に来た。

「まぁその辺の椅子に座っといてくれ」

「う、うん」

なんだ?

優がいつもと様子が変だ。

「あの、大事な話なんだけどな」

優がこんな真剣な顔してるの始めてみた。

しかもちゃんと身だしなみを整えてる。

いつもなら白衣の襟とか片方だけ立ってたりするのに。

「昨日の女の子。あれ、どうしたの」

……。

やべっ。

そうだ、優は夏樹を見てる。

忘れてた!

「昨日の子ね。うん、あの子ね。えっーとね」

なんも思いつかん。

えっ、どうしよ。

「あの子。隆太と別れてどこにいったか分かるか?」

ん?

なんで夏樹と離れた事になってんだ。

あ、流石に一緒に住んでるとは思ってないのか。

確かにありえないもんなフツー。

「いやー、駅まで送ったんだけどね。その後は良く知らないんだ」

危うくバレるとこだった。

じゃあさっさと教室に行くか。

「そ、そうか。わかった。隆太はあの子何か知ってるか?」

「いや、何かあの子にあるの?」

「なんでもない。悪かったな、教室いっていいぞ」

俺は保険室を出て息を整えてる。

焦って心臓の音が早くなっていた。

後もう一つ。

俺の演技完璧すぎて惚れ惚れするんだけど!

自分で自分が怖い!

俳優になれるかもな。

自画自賛はこの辺にしておいて教室いっか。

そういや智也にもハッキリ見られてんだよな。

まぁ他の連中もなんとなく見てるだろうけど。

そっちは大丈夫かな。




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