第6話 旅立ち

俺の足元に四人の男の死体が転がっていた。


ショタ男色家のエランは味方の魔法で頭を割られて即死。

ゼルバアルという耳の尖った青年は剣で斬りかかってきたので手首を切り落としてから首切断。

部屋に飛び込んできた残りの二人に、ゼルバアルの首を落とすシーンを見られたせいで、敵認定され戦闘開始である。


お爺さんは格闘家だったらしく動きがすいすいっとしていて剣が当たらなかったので火魔法を脳内で炸裂して対応。

もう一人の紳士っぽいのはソフトボールぐらいの火の玉を連発で撃ってきたので、俺も火魔法を連発しながら相殺して、間合いを詰めて上段から切り下ろすだけだった。


俺の部屋の中はめちゃくちゃである。

準備を始めていた越冬のための資材も食料も駄目になっている。

そして、死体が四体である。

ため息しか出ない。

何でこうなってしまったのか。


血で汚れた毛皮のベッド。

打ち壊された竈。

踏み潰された燻製肉と日干し魚。

破壊された椅子とテーブル。

家の中をゆっくり見渡した後、俺は決意した。

山を降りて人里に行こう。

あとダンジョンも探そう。


そう決めると、早速準備に取り掛かる。

まだ食べれそうな食料を探し、要らないものは家の外に積んでいく。


四人が持っていたカバンや装備も使えそうなものに分けていく。

エロンの腰にある空間魔法のポーチもありがたくいただいた。

かなりの量が入るようで、とりあえず片っ端から突っ込んでいったが全部入ってしまった。


部屋に残ったのは肌着姿になった四人の死体だけである。

ゴミと一緒に燃やすのはさすがに不憫だと思い、自然に還れと念じながら水葬にした。

なんてこともない、ただ海に流すだけである。

安らかに眠れ、と手だけ合わせておいた。


あとは家の前に出したゴミを燃やすだけである。

時刻はまだ昼過ぎである。

一年間静かに過ごしてきたのにとんだ一日である。

ゴミに火をつけ、ついでに串を刺した魚も焼く。


焼ける魚を見ながら、どこに行くか悩む。

といっても、後ろは逃げてきた地元、正面は海なので、右が左か、の二択である。


木の棒を立てて手を離す。

倒れた方に行こうと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る