第3話
時刻は18持35分。ポケットのスマホを取り出すと友達からLINEが入っていた。
『19時30分通りで大丈夫そう?』
愛子の誕生日のお祝いをしてくれるという友達の由奈と、ご飯を食べに行く約束をしていた。取引先様に資料を届けた後も会社に戻らなくてはいけないことを思い出した愛子は、慌てて由奈に電話を掛けた。
「ごめん由奈!仕事が終わりそうにないの。」
「え!?今日は休みだったよね?」
「そうなんだけど仕事のミスがあって呼び出されちゃって・・・。」
由奈には仕事の愚痴をよく言っていたから、状況はよく知っていた。だから今日は愛子の誕生日会が出来ないと察して優しい言葉を掛けてくれる。
「じゃあ誕生日のお祝いは次にしよっか。早く上がらせてもらいなよ?辛かったらいつでも愚痴聞くからね!」
「ごめんね、いつも・・・ありがとう。」
由奈の優しさに言葉が詰まる。電話を切った後、突然の虚しさに襲われた。
誕生日に休日出勤で友達との約束も駄目にして、なんて悲しい一日なのだろう。
誰のせいでもない、私のせいだからこそ行き場のない苛立ちと悲しみを背負って足は鉛の様に重くなっていた。
辞めると言えない私たち 春夏秋子 @xyz_1031
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