第10話 これからもふたりで

日曜の夕方、テレビに御馴染の音楽が流れる。

昔と変わらない。

まあ、かわってしまえば、らしくないが・・・


「みなさん、こんにちは。笑点の時間がやってまいりました。

司会の、木久耶です。どうぞよろしく」

会場から、拍手が鳴る。


前座時代までは、木茶と名乗っていた女性の噺家。

今では、立派な真打ちだ。


昔は、男性ばかりだった、大喜利メンバー。

今では、女性の噺家もいる。


ただ、問題は作りにくくなったらしいが、放送作家の腕の見せ所だろう。


あれから、数十年が流れた。

当時のメンバーは、もう鬼籍に入られた。


園芸の後、大喜利のコーナーになる。

メンバーが挨拶していくなか、俺の番になる。


木久丸です。よろしく。

拍手がなるが・・・


「こら、丸、きちんと挨拶しなさい」

「師匠、ここでいわなくても・・・」

司会席の、木久耶師匠をみる。


他のメンバーがら、激が飛ぶ。

「ここで、夫婦げんかしないでください」

会場は、笑いの渦に包まれる。


あの時、尼野さんの支えとして入門したはずの、俺は畑山康夫。

尼野さんは同級生ではあるが、あねさんになった。


その時、師匠から木久丸という高座名をいただいた。

形ばかりと思っていたが、気がついたら真打ちになっていた。


尼野さんとは、互いが二つ目のうちに結婚した。

仲人は師匠。


そして、ふたりで支え合ってきた。


今はこうして、同じ壇上にいる。

でも、あねさんには違いないので、仕事上は師匠と呼んでいる。


でも、プライベートでは・・・


「康夫さん、出かける」

「うん、行こうか?由紀子」

子供たちを呼ぶ。


「さあ、出かけようか。みんな」

「ハーイ」


世の中どうなるかわからない。


でも、今は幸せです。

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縁は異なもの 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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