第5話 謎とき

着メロがなった。

笑点のテーマだ。

まだ、尼野さんに返していなかった。


「はい、尼野さん」

「ありがとう」

俺からスマホを受け取り、尼野さんは少し離れて話す。


「あっ」

「どうしたの?」

「まだ曲の途中」

「唄ってたの?」

「うん」

尼野さんは、こちらを見る。


あきれているみたいだ。


歩きスマホは危険だからな。

その点も、教え込まれているのだろう。


どうやら師匠のようだが・・・

何を話しているんだろう?


「康夫くん」

「何?」

「謎解きなんだけどね」

「うん」

「寿司とかけて、何ととく」

あのう、もしもし・・・


「俺が答えるのか?」

「うん」

「君が出されたんだろう」

「先輩の言う事は聞きなさい」

「だから、弟子入りしていませんてば」

「いいから、いいなさい」

ヘイヘイ


「寿司のかけて、音楽ととく」

「その心は?」

「サビが肝心です」

「それいい」

何がいいのかわからんが、尼野さんはまた話だした。


「康夫くん」

「何?」

「ほめられたよ」

「ようござんしたね」

たく・・・


「ところで尼野さん」

「何?」

「君はどうして、俺を知っている?」

「クラスメイトだもん」

「そういう意味ではなくて・・・」

尼野さんは、こっちをじーっとみた。


「君は、落語好きでしょ?」

「えっ?」

「私は、おなじ類の人間を見分けるのは、得意なんだよ」

そんな特技いらない。

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