お泊りと自慰 その一
その日カノンは翔太の雑誌を全て処分した。罪は大目に見たが、ブツはすぐさまゴミ箱に捨てたのだ。あとは軽く部屋の掃除をしてやり、夕食も頂いていると今日は泊まっていってはどうかと翔太の両親に聞かれた。
カノンは翔太を見て確認すると、翔太は微笑んだので、その提案を快く受ける。一応恵美に連絡を入れると『楽しんでくるのよ、翔ちゃんと』返信が来た。最後の一言は余計だと思いカノンはため息を吐いた。
「うちに泊まるのなんて久しぶりじゃないか?」
「小学生以来だよね」
今は翔太の部屋に二人でいる。昼のようにベッドで並んでてはなく、カノンがベッドに、翔太は椅子に腰掛けて話していた。少し雑談をしていたら、ドアから優華が顔を出した。
「二人とも、お風呂用意できたわよ。入っちゃいなさいね?」
「わかった」
「ありがとうございます」
どうやらお風呂が沸いたらしい。カノンは後に入ると言うつもりだったのだが、翔太が昼の光景を見てしまった為に、カノンが先に入り、翔太が終わるまでリビングで待つと決まった。カノンもそれに関しては何も言えないので黙って頷いた。
「それじゃあ先いただくね」
「おう、急がなくていいからな」
「うん、ありがと」
一声かけた後にカノンは脱衣所に向かう。リビングを抜ける前に優華が声をかけてきた。
「タオルと着替えは後で置いておくわね」
「ありがとうございます、助かります」
「自分の家だと思ってゆっくりでいいから」
翔太と同じ事を言っている優華にカノンは微笑み返事した。脱衣所に着いたら服を綺麗にたたみ、洗濯カゴに入れて浴室に入った。身体をしっかりと洗い、石鹸を流した後に浴槽に足を入れる。
「ふぅ……」
丁度良い御湯加減に吐息が漏れる。人様のお風呂なので緊張するかと思っていたが、寧ろ懐かしい気持ちになるカノン。肩まで浸かり、今日の疲れを取るのだった。
「はあ……今日は濃い一日だったなぁ」
朝から出掛けて喧嘩をするが、お互いの気持ちがようやく判り、帰りは家に戻るまで手を繋いでいた。
その後良い雰囲気になるも、互いに見られたくないものが露見してしまう。その頃には昼間のムードなどはとっくになくなっていた。こうして振り返ると中々濃厚だ。
「でも、翔太と両想いだったんだよね……ふふ」
昼間の告白は人生最大の幸福だと感じたカノン。思い出すと喜びが浮かぶ。
「でもあの雑誌の件はない!」
ここまで良い思い出なのだが、件の雑誌は本当に許せなかった。年頃の男の子がああいったものを購入するのは理解しているが、翔太には納得してあげられなかった。大体幼馴染好きなら私ですれば……そこでカノンは顔が赤くなり、思考をやめた。
「はぁ、やっぱり好きなんだなぁ……あたし」
幼い頃からずっと翔太を隣から見ていた。成長するにつれて身体が逞しくなり、異性として意識するのにそう時間はかからなかった。そして匂いもどんどん魅力的になっていった。
「やっぱりただの匂いじゃ満足できくなっちゃった……」
成長する度に、翔太の濃厚で芳しいものでないと、カノンは満足できない身体になってしまった。そんな事を考えていると色々な想像をしてしまい、身体が火照り出した。
「やばい、逆上せたかも……」
湯船から出て、少しぬるいお湯をかけて身体の温度を下げる。それからお風呂から上がった。着替えは翔太のスウェットがそこに置いてあったので、それを着てリビングに向かう。その後翔太もお風呂から上がり、二人で部屋に戻った頃には時計の針が十時を指していた。
「今日はもう寝るか、なかなか疲れたしな」
「そうだね」
「じゃあカノンは俺のベッド使ってくれ、俺は布団で寝るから」
「うん」
翔太は床に敷いた布団に寝転がり、掛け布団を被った。カノンも同じ事をするが、どうしてこれに気づかなかったのかと自分を責めだす。
普段翔太が使っているこのベッドや枕には匂いがとても付着している。そんなものを被れば、フェチのカノンが正常でいられる筈がなかった。
「やば……翔太に挟まれた。えへへ」
既にトリップしてしまったカノンは息苦しくなる程に布団や枕を嗅いでいる。吸っている空気に全て翔太の匂いが乗っているので、カノンは冷静になれる場所がなく、永遠と酔っ払いの様になっていた。そして高揚したカノンは次のステップに動く。
「寝てるよね……」
下で寝ている翔太を確認しする。眠りが深い翔太はかなりの刺激を与えなければ簡単には目覚めない。カノンはゆっくりと四足歩行で翔太の布団を剥ぎ、下腹部に鼻を近づけた。
「あぁ〜、良い匂いぃ……なんら変ら気分にらってきた〜」
舌を出し、犬の如く匂いを嗅ぐカノン。その姿は犬などではなく、欲望に忠実な豚だ。とても身内や友人に見せられる姿ではなかった。
「やゔぁい……くぉうふんしてきら……」
呂律が回らず何をいってるのか自分さえもわかっていない。しかし今何をすれば良いのかは身体が教えてくれてる。それに従いカノンは右手を伸ばした。
「うはあぁ……こんにゃに、にゅれてる……」
自身の下着を脱ぎ、そこを触ると凄まじい愛液で濡れていた。カノンはゆっくりとそこを右手で弄り始める。
「ん……はぁ……ひゃあぁ」
鼻を限界まで翔太のそれに近づけて嗅ぎ、右手はねっとりと自分のそれを弄る。奥からどんどん溢れてくる体液のせいで大変な音が出ているが、もしかしたらバレるかもしれないと考えると、興奮度が高まったカノン。最早誰も彼女を止められない。
「ああ〜しょーた〜しょーたー」
少しずつ気持ちよくなってきて、姿勢を維持できなくなってきたカノン。身体が偶にビクンと跳ねて、もうすぐ頂きに至る事に気付くと、手の動きに激しさが増した。とんでもない音を出して自慰行為をするカノンは、達した瞬間に自身を支え切れず、翔太のそれに顔を付けてしまった。
「!」
それに顔が当たり、本体の匂いを摂取した途端にカノンの脳はショートした。下腹部から生成された大量の愛液で、そこら中水浸しになり言い訳が通用するレベルなど、とうに超えた状態に。その惨状の中でカノンは、翔太のそれを枕にした状態で気絶してしまった。
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