制御不能編

親バレと幼馴染バレ

 ※最近まともな子になりつつあるので少し戻しておきます。



 翔太の買い物も終えた二人は佐藤家に戻り、昼食を取ることにした。


「沢山買っちゃったな」

「翔太もね」


 二人は片手いっぱいに買い物袋をぶら下げていた。


「翔太のそれは一体いくらかかったの?」

「んー、回らない寿司屋で食べれるくらいかな?」

「買い過ぎでしょ……」

「はは」


 流行りのものからマニアなものまで様々なゲームを購入した翔太はいつもより楽しそうだった。そんな話をしているとあっという間に佐藤家に着いた。


「あら、二人とも?」

「え! 母さん!」「優華さん!」

「あらあら〜」


 優華はを見てニッコリと笑った。その反応で翔太とカノンは顔が赤くなる。


「二人で手を繋いでくるなんて、とっても仲良しさんねぇ」

「えっと、これは……」


 恥ずかしさでいっぱいになってるカノンはどう言い訳すれば良いか考えるが、そんなカノンの手を繋いだまま翔太は自宅に入る。


「ちょ、翔太!」

「いいから、行くぞ」


 少し強引な翔太に驚くが、よく見ると耳まで真っ赤にしている。向こうも同じ気持ちだった様で安心した。


「ふふ、やっと翔太も素直になれたのね」



 ――――――――――――――――――――


 昼食を済まし、二人は翔太の部屋にいた。カノンが購入したものは一度家に帰り置いてきた。


「人多かったなぁ」

「朝からあんなにいたから、今はもっといるかもね」

「だな」


 内容が薄い話をするが、不思議とお互い苦にならない。ベッドに二人で腰かけ互いの手を重ね、寄り添いあう。ただそれだけで心が満たされ――ないのが篠崎カノンだった。


(翔太とこんなに密着したら……ダメ!)


 最近は鳴りを潜めていたが、やはりその変態性は隠せなかった。


「わり、ちょっとトイレ。それと菓子とかも持ってくるわ」

「う、うん。ありがと」


 翔太が部屋を出て行き、カノンは何とかその感情を抑えきれた。しかし制御しきれない程の変態性はまるで意識があるようにカノンを操作する。


(何これ、手が勝手に!)


 ゆっくりと手を伸ばすカノンの身体は部屋のタンスに向かっていた。そして引き出しを引っ張り、とある物を握る。


(ええ! それは!)


 翔太の下着を複数握っているその手はとても嬉しがっているように見えた。それに呼応するかの如く、カノンも少しずつ鼻を近づけていく。だんだん匂いがしてきてカノンは少しニヤつき始めた。


「はれ? ほっかしいなぁ。えへへ」


 匂いにやられたカノンの呂律は回らず、犬の様に下着を嗅いでいた。もう少しで翔太が戻ってくるというのに身体は正直だった。


「わり、遅くなった……って」


 部屋の扉が開き、トリップしていたカノンは翔太が戻ってくる音に気がつかず、下着泥棒同然の格好を晒した。ニヤニヤした顔を翔太に見られたカノンは、現状を理解して血の気が一気に引いていく。真っ青な顔で翔太を見つめていた。


「カノン、流石にそれは……」

「し、翔太……あ、あはは」


 乾いた笑いで誤魔化そうするも、全て遅すぎる。折角翔太と恋仲になれたのにこのまま行けばすぐにその関係は破局する。そんな中翔太の顔もカノンと同じくらい青くなっていた。


「はは、今回は大目に見るから俺のも見逃してくれ……」

「へ?」


 何を言っているかいまいち理解出来なかったカノンはタンスの中を確認する。すると中から成人向け雑誌が複数出てきた。様々なレパートリーの中でも、『幼馴染』系統の雑誌は少し何かに使用されていた跡が見られた。怒りと謎の嫉妬で頭に血が上っていった。


「……」

「か、カノン?」

「ふん、どうせ翔太は私より雑誌の中の子の方が好みなんでしょ。一生雑誌と戯れてれば?」

「う、うわああ! だから分かりづらい所に隠したのにいいい!」


 大声で絶望の叫びをあげた翔太を見て、カノンは苛立ちを解消し、自身の罪をうまく隠蔽できたことに安心した。その後、幼馴染の雑誌の件で少しだけ罪を許してあげた。

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