心配と迎い
※今回は恵美と翔太視点です
「遅いわね……」
とっくにカレーは出来ていて、カノンにメールも送ったのに返事がない。
日も沈んでおり、夜に外で一人のカノンを想像したら心配になってきた。
時折カノンは悩み事があると何処かに行ってしまう娘で、その場所がいつも解らない。しかし、最後は翔ちゃんと帰ってくることは決まっている。
「翔ちゃんならわかるかな?」
帰ってきた娘の様子が変なのは明らかだった。もしかすると翔太が何か知っているかもしれないと、優華を通してメールした。
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「翔太、カノンちゃんの居場所知らない?」
「唐突だね、どうかしたの?」
夕飯を作っている母親から声をかけられた。
「なんか恵美の話だと、お夕飯前に出かけてからまだ帰ってきてないって連絡が来たの」
「何やってんだよアイツ……悪いけど場所はわからない」
「翔太今日一緒に帰ってないの?」
「……カノンが助っ人頼まれてたから一人で帰ったよ」
カノンは朝から調子が悪そうだったし、悩みでもあるのだろうか……いやあの感じはあるな。
夕飯時に何も言わず外出するということは相当なことなのだろう。長い付き合いだから、今回こそは向こうから相談してくれると思っていたのだが。
(ここは俺から聞いてやるか、めんどくせぇけど……)
いつもカノンは何かあると向かう場所がある。小さい頃から必ずそこで泣いていて、その度に俺が迎えに行っていた。
もしかしたら今回は別の所かもしれないが……そう思うが俺は玄関で靴を履いて出かける準備する。
「どこ行くの?」
「カノンのとこ」
「あら、ふふ……いってらっしゃい」
「い、いってきます!」
茶化されて、少し恥ずかしかったため乱暴にドアを閉めてしまった。
とにかく今はカノン所に向かおう。夜に女の子一人では危険だ。
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