絶望の朝

「♪〜」

「んん……」


 アラームを止めて体を起こす。結局あの後中々寝付けず、寝入ったのは日が出始めた頃だ。そのせいで身体は重く感じ、布団から出るのを躊躇うが学校があるので準備を始める。


「おはよう、朝ご飯できてるわよ」

「んー……」


 寝ぼけながら階段を降り、リビングに出ると恵美が朝食を並べていたので席に着いた。


「どうしたの、昨日の夜は元気だったのに」

「中々眠れなくて……」

「翔ちゃんの事を考えるのは良いけど、体調管理はちゃんとなさい」


 朝食を口にしていると恵美が話しかけてきた

 確かに翔太の事で寝付けなかったがそっちの話ではないのだ。

 朝食を済ませ、歯を磨き終えてから再び二階へ上がる。

 制服に着替え、身だしなみを確認していると一階からインターホンがなった。おそらく翔太が迎えに来てくれたのだろう。


「カノン〜、翔ちゃん来たわよ〜」

「今行く!」


 下から恵美が知らせてくる。本当は今会いたくないけど、迎えにきてくれるのは素直に嬉しい。駆け足で玄関に向かい、扉を開けた。


「おーす、おはよう」

「……おはよう」

「どうした、何か元気ないようだけど?」

「だって昨日の夜、あんなことがあったし……」

「やっぱ夜なんかあったか?」

「え?」


 翔太の発言にカノンは目を丸くする。


「いや実は昨日途中で起きた気がしたんだが、記憶がなくて」

「そ、そうなんだ」

「ああ、なんか知ってるなら教えてくれよ」


 あの時のことをどうやら覚えてないようだりそれを知ったカノンは笑顔になり、疲れなど吹っ飛びんだかの様に走り出した。


「翔太には教えない!」

「なんだよそれ……」

「早くしないと遅刻するよー」

「あぁもう……まてよ!」


 突然元気になるカノンを疲れた顔で追いかける翔太。とりあえず昨夜の心配は無くなった。

 カノンは今回のことで危ない橋はなるべく渡らないと決意するが、今はそれよりも翔太と共に登校する事に幸せを感じていた。

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