不安と諦め

「どうしようどうしよう……」


 自室に戻って頭に手を当て悶え苦しむ。バレた、見られた。

 勝手に部屋に上がり込み、剰え寝ている翔太に色々な事をした。羞恥心と不安がカノンを襲う。こんな事なら天使の助言を聴き入れればよかったと心から思った。


「明日からどんな顔して会えばいいの……」


 いくら考えたところで時間は無情にも進んでいく。明日のことを想像すると震えが止まらない。

 押し寄せる恐怖感に押しつぶさせそうになり、その場にへたり込む。そしてカノンは人一人位は入れておける自室のクローゼットを見つめて呟く。


「もういっそ……」


 それ以上はカノンは口にしなかった。

 そんな道徳に反することをすれば自分は人としてはいられなくなる……既に普通の女の子を名乗れないような愚行をしてきているのだが。


 時間は既に十二時を回っている。明日も学校があり、このまま悩んでいても仕方がないのは理解していた。


「仕方ない、寝よう」


 全てを諦めて寝ることを決意したカノン。明日も明後日も学校はあるので布団に入る。


「運に身を委ねよう」

 ケセラセラ、そう思いカノンは目を瞑った。

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