天使と悪魔
それは姿を現した。
片や神の使いの姿で、片や悪を象徴する姿で目の前に出現するとその二つの存在……天使と悪魔はカノンに助言し始める。
『早くでないと起きるかもよ? バレたら大変! すぐ出なきゃ』
『無防備な生翔太の機会が次あると思う? チャンスは待つんじゃなくて、掴むものよ!』
天使は後の事、悪魔は今の事に意見する。悩んだ末に出した決断を行動に移す。カノンは窓から遠ざかった。
『カノン正気? バレれば翔太との関係は終わるかもしれないよ! いいの?』
『無駄よ天使、あなたには決してわからないでしょうね』
『カノン! どうしてそんな危険を冒すの?』
(『そこに匂いがあるから』)
カノンと悪魔は同時に答える。天使は訳がわからず放心状態になるとカノン前から消えた。
これで邪魔者はいなくなった。後は少し匂いを堪能して帰るだけだと思っていると、悪魔がカノンに囁いた。
『ねえカノン、あなた嗅ぐだけで……満足かしら?』
(?)
『その先の工程……テイスティングもしてみない?』
(!?)
カノンの興奮度は最大値まで上昇し、脳がオーバーヒートを起こした。
悪魔はイヴをそそのかした蛇の如く、
カノンはまだ見ぬ未開の地に足を運ぶように、翔太にゆっくり近づく。更に悪魔はカノンに場所を指定する。
『一番美味しそうなところは……』
(ぱんちゅ!)
カノンは鼻息荒く、興奮し過ぎて冷静さを欠いてるが、声を大にして答える……実際に声は出てないが。回答を聞いた途端に悪魔の口角が上がる。
どうやら正解らしい。それを見たカノンもニヤッと口元を歪めたのだった。
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