第六感

「今行く」


 インターホンから翔太の声が聞こえて数秒、玄関が開いたので中に入れてもらう。


「お邪魔します」

「まだ時間掛かるみたいだ」

「来るの早過ぎたかな?」

「それは大丈夫だろ、とりあえず入れよ」


 玄関で靴を脱ぎ、カノン達はリビングに入るとキッチンで料理している人物が目に入る

 翔太の母親…優華さんだ。


「いらっしゃい、カノンちゃん」

「お邪魔します、優華さん」


 エプロンを付けた優華にカノンは挨拶をする。


「ごめんね、これから始めるところなの。ソファーでくつろいで待っていて」

「わかりました」



 優華に言われた通りに翔太と一緒にリビングのソファーに腰掛けて料理を待つ。

 テレビを付けてバラエティ番組を見ていると、翔太が口を開いた。


「母さん、まだ時間掛かる?」

「そうね、もう少し掛かりそうかしら」

「なら軽くシャワー浴びたいんだけど」

「カノンちゃんが来てるのよ? ご飯の後にすれば?」


 一人になってしまうカノンに気を使って翔太を止める優華だったが、その言葉にカノンの第六感が働き、それを否定した。


「大丈夫ですよ優華さん」

「そう……じゃあ翔太、早く戻るのよ」

「わかった、ありがとうカノン少し待っててくれ」


 カノンが良いならと渋々許可を出す優華。両手を合わせて頭を下げ、謝罪のポーズを取った後に翔太は脱衣所に向かった。


「ごめんねカノンちゃん」

「いえいえ、長い付き合いなので」

「そういってくれると助かるわ、あの子自由だから」

「あはは、慣れてきました」


 苦笑したカノンを見てから優華は微笑み、調理を再開した。そしてカノンは腕を組み、この現状について考え始めた。

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