お部屋侵入編
お誘い
あの事件の後、学校から二人で下校していると翔太がお腹を鳴らした。
「そういや今日ウチはすき焼きだったな」
「そうなの?」
どうやら翔太の両親がこの前親戚から有名ブランドの牛肉を頂いたようで、それを使って今日はすき焼きを作るという話らしい。
「すき焼きいいなぁ……私も食べたいかも」
「カノンも来れば? 多めに作るらしいし」
カノンが羨ましがると翔太は夕飯を一緒にどうかと誘ってくれた。
一度家に帰宅して両親にその事を伝えた後、着替えてから向かうと翔太に話して、お互いの自宅前で別れた。
「わかった、母さんにも伝えとく」
最後に翔太はそういって自宅に入っていった。
カノンも家の扉を開け、玄関で靴を脱いでリビングに入ると、そこにはカノンの母親……恵美がいた。
「おかえり、少し遅かったわね」
「ただいま、まあ……ちょっとね」
放課後の件を思い出す。あんな出来事、母に伝えるわけにはいかない。
娘が重度の匂いフェチで特に「翔太の匂いは格別で、トリップしてしまいます」などと知られれば、下手をすると翔太に会えなくさせられるのでは?と思い話をはぐらかした。
「夕飯はどうする? まだ特に決まってないけど」
「お母さん、さっき翔太に夕飯誘われたんだけど」
「愛しの翔ちゃんに? 良かったわね〜」
「べ、別に……」
「いいから行ってきなさい、向こうも用意してくれてると思うし」
「うん、ありがと」
突然な事にもすぐに対応してくれる母親に感謝しつつ、着替えのために自室に向かう。
私服に着替えて家をでて、佐藤家のインターホンを鳴らした。
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