放課後編

放課後 その1

 ※この話まで翔太視点です



 俺の隣にいるのは篠崎カノン。ダークブロンドの髪を前下がりボブにしている娘だ。


 高校に入ってからは元の身体能力の高さと分け隔てない性格から、様々な部活の助っ人を頼まれるもその全てを快く了承していた。

 そのおかげでかなり有名人だったりする。

 ちなみ俺こと佐藤翔太はどこにでもいる普通な高校生で特出するところは特にないと自負している。


 K高校の一年生になってもう七月になる。朝、俺はカノンと二人で学校に向かっていた

 幼い頃からの名残で高校生の今でも一緒に登下校している。


「はぁ……めんどくせぇ」

「翔太その口癖直しなよ、聞いてるこっちが疲れる」


 陽に当たると明るく映るその髪が、時折背後から吹く風に揺れる。それを片手で抑えながら俺に物申してきた。


「朝は弱いんだよ……それに今日一限目から外で体育だし」

「まあ確かに今日の朝一番はあたしもいやかも……」


 七月に入ってからは雲ひとつない綺麗な青空が毎日のように広がっており、唯一の風も熱風に近い為に朝から体力を奪われる。こればっかりはなかなか慣れない。


「早く今日よ終わってくれ……」



 一限目の体育が無事終わり、残りの授業は死んだように寝ていると昼のチャイムで目が覚めた。昼飯も相変わらずカノンと食べ、午後の授業は一応真面目に受ける。


 今日は五限で終わりなので早めに帰ろうと思い、チャイムが鳴り終わった後に席を立ちカノンに声をかけようとするが、それと同時に嫌な放送が流れた。

『一年C組の佐藤翔太は至急職員室に来るように』

 おそらく午前中の居眠りの件だろうか、下校直前に呼び出しだ。


「わりぃカノン、ちょっと行ってくるわ」

「わかった」


 早めに済まそうと少し早歩きで職員室に向かう。

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