#9 ソウダン

「有用なスキル、ねー...」


翌日、ギルドマスターのもとに行き今までの成り行きを話した。


「一応断っておくけど、彩雲君の攻撃魔法は十分な破壊力を持ってるんだよ?ただ彼女が規格外なだけで...」

「知ってます」


問題は彼女が言った「スキルが少ない」という点である。


「基本攻撃魔法は全て出来てるんですよ。少ないということは応用を覚えろ、ということなんでしょうか?」

「んー、応用は勇者には難しいかもね。魔法使いになれば半年以内にはできるかもだけど」


勇者は他の職業と違い、「2派スキル」がある。その代わりに他の職業とくらべてどうしてもスキルの上達が遅れてしまう。


「支援魔法、はどうかな?」


ギルドマスターが尋ねた。支援魔法、1番苦手な魔法である。ソロプレイで無双出来るように攻撃魔法を修行してきた俺は支援魔法には毛ほど程度しか手をつけていない。


「確か彼女はあまり支援魔法を持ってないよ。君が支援魔法をできるようになったら驚くんじゃないかな?」


なに?


「アリスは支援魔法を持ってないんですか?」

「あ、うん。彼女は基本一匹狼だし強いからね。攻撃強化系の支援魔法しか必要ないんじゃないかな」


良いことを聞いた。支援魔法を全て覚えればあいつより上な部分が出来る。少しでも差を埋めるためだ!


「分かりました!俺、支援魔法の修行してきます!」

「え、あ、うん。頑張ってね」


そうと決まれば善は急げだ!

俺はギルドを全速力で飛び抜け、草原に向かった。



「悪魔の気配、か...。嫌な感じだな...」


ギルドマスターである男性–ノート・ルイティは今までにない不安を胸に抱いていた。

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