3周年記念!!!ガチャ

暗黒騎士ハイダークネス

第1話

 『ガチャ』


 それは全ての(課金)始まりで、全ての戦士が絶望か希望かに辿り着く終着点。




 『ガチャガチャ』


 それは子どものころにやった思い出。ほしいモノが出なくて、親にお金を貸してほしいとせがむ子どものころの私。

 何かをほしいモノを夢中に求められたあの子どものころ。


 そして、今になって思うんだ。

 あれはある意味天井つきガチャなんだと・・・

 なんと良心的だろうか、あるだけ全部引けば、ほとんど確実に全種類と秘密の黒塗りのレアが手に入るんだ。

 それはとても、とても!!幸福なことだろうと、私はそう今は確信できる。




 だけど、もうあの頃のお金をせがむ私はいなくなってしまったんだ・・・。

 もう働き、自分でお金を稼ぎ、そして自由に使える諭吉さんたち。

 『ガチャガチャ』?そんなものに興味はない。

 私のただ一つの趣味!



『スマホのゲームのガチャ』



 それは電子の海に沈みし、『ガチャ』である。

 とても深い深い光も届かぬような海の底に沈む天井知らずの『ガチャ』であった。






 今日も仕事が終わり、電車に揺られ、アパートへの帰り道にコンビニによって、おにぎり二つ、唐揚げ、枝豆とビールを買って帰る。

 いつもなら、自炊をしろとうるさい母からのメール通りに、近くのスーパーによるんだが・・・

 しかし、今日だけはこれを祝いながら、やりたいんだ!

 アパートのドアを開け、我が城!いや、部屋へと帰還した。

 そして、スマホの充電器を準備し、いよいよ待ちわびたアプリの画面を起動する。

 慣れた手つきで操作して、その画面へと辿り着いた。


「3周年記念ガチャ」


 今日まで待ちわびた私が3年やっているゲームのイベントガチャの開始だ。

 今年で私も24歳、社会人2年目、忙しくて金をかける余裕も時間もなかった1周年と2周年ガチャ・・・そのイベントではしっかりとへそくり使ったり、新人社会人の時も挫けずに仕事を続けて金をこれにかけた。


 1回限りしか回せない。だが、確実に最高レアがでるなんて神じゃないだろうか?すら思ってしまう。

 徐々に震えて指先でそのボタンを押した。


 ・・・持ってるキャラの同じ最高レアが来た気持ちって、切ないよね。


「お!お?!お!?!・・・はぁ~~~」


 気持ちが沈む。マジで沈む・・・さて、合成してこよう。

 これが確定最高レアのガチャじゃなかったら、素直にうれしかった。

 最高レアの使い道がないわけじゃない。ただ新しい可愛いのやカッコいい最高レアが欲しいだけだ。

 戦略の幅も広がるしな。

 ・・・ただ確定最高レアは1回だけなんだよな。


「だが、まだ終わりはせんよ!!」


 今回はこれがそう『ピックアップガチャ』

 過去俺があまり積極的にイベントに参加できなかった時のキャラも大盤振る舞いで出る。

 だが、天井知らずだ。

 提供確率?なにそれ美味しいの?

 あれは・・・出る確率ってだけで、100回引いても0の人も、5個最高レアが出るやつだっているからな?

 そして、ここにありますわ。

 さっきのコンビニで2枚の諭吉と等価交換してきたiT●●●●カード。

 直接やれないって不便だよね。

 クレジットでやるとお前はやばいと友達全員に止められたんだ、仕方ない。

 10円玉で削って、コードを入力、課金っと・・・。


「ふぅ・・・」


 見ると時計の針はもうすぐ21時になりそうだった。

 こういうときは21時ぴったりで回したいもんだよな。

 なんだかそっちの方が出る気がする。

 無言で、そのボタンを押した。


「・・・」


 もう1回ボタンを押した。


「・・・」


 もう1回ボタンを押した。


「お?・・・はぁ・・・」


 最高レア・・・一歩手前のキャラが出た。だが、持っているんだよな。


「お!?!?お!!!!!」


 出た!たった1諭吉で出た!!・・・これは今日はついている。間違いない。 

 ・・・そうここでやめて、いればよかったと、私は朝に後悔することになる。


「出ないな・・・」


 2諭吉を使っても、出ない・・・ならば、増援を呼ぼう。

 この時、すでに1缶開けていて、すでに私は酔っていたんだと思う。

 コンビニから戻った私は4諭吉のカードとお酒を追加で持ってきた。

 それから2諭吉カードを犠牲として、目的のモノは手に入った。

 だが、もう2枚諭吉を犠牲にしたカードがある。

 マワセ。マワセ。と画面から私を見つめてくる最高レア達が言っていたような気がした。

 その2諭吉で最高レアは手に入った、だが、俺が欲しかったのではない!!


 10諭吉を生贄に手にした戦果は最初の確定のと合わせて、最高レア5枚。

 それに私は満足した。このあと私はゲームのイベントをやり、お風呂に入って、明日の仕事に備えて寝た。

 少し頭痛のする頭を押さえて、朝起きてみたものは空の冷蔵庫と空の財布と散乱したiT●●●●カードの山だった。

 そして、今月の生活費は全てガチャの海に消えたとさ。


 おしまい

















 後日談 母との会話記録


「ねぇ・・・お母様?今月ちょっとお金の仕送りしてくれない???」


「・・・ゲーム」


「うぐっ」


「3周年」


「うぐぐ」


「ガチャ爆死」


「爆死じゃないよ!ちゃんと当たったよ!!!・・・・あっ」


「仕送りはなしだよ、反省しな・・・ガチャ」




 後日、段ボールいっぱいに入ったカップラーメンが届いた。

 私は母に感謝した。

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