ふと

『HELLSING』の少佐の言葉を噛み締めている。

 少佐とは『HELLSING』と言う作品のラスボスの事である。

 彼が主人公である吸血鬼アーカードと自分を比べるセリフがある。

 アーカードは圧倒的な能力を誇る吸血鬼で、その数々の能力を告げた後に少佐は言う「私には何もない」と。

 圧倒的な能力差の在るアーカードと戦うために、寝ても覚めても考え尽くしたとも。


 さて、私は小説に対してそこまで考えているだろうか。

 話の筋は考えている。

 でも、それだけでは無いのか。

 テーマは如何だ? これで伝わるのか?

 テンポは如何だ? 間延びしたりいらない情報が紛れていないか?

 文章は如何だ? 無駄に硬くは無いか? そもそも読める物になっているのか?


 少佐にとっての戦いが思考である。

 そのため彼は寝ても覚めても如何にアーカードを倒すかを考えた。

 私にとっての小説は如何だ?

 きっと、そこまで考えきれていない。


 仕事も子育てもある、四六時中考えて居られる訳がない。

 それでも、時間が許す限り考えなくてはいけない。

 この物語は何を伝えたいのか。

 コンテストに出すのは自由だが、締め切りに追われるだけでは意味がない。

 締め切りに追われながら、考えなくては。


 カクヨムコンに参加しているが、私の参加作品はまだ二万五千字。

 後、七万五千字書かねば戸張口にも立ってない。

 ……年末は家族がインフルで倒れ、私一人で慣れない家事に悪戦苦闘した。

 寝込んでいた幼い息子は治れば、フラストレーションから暴れまわっていた。

 おかげで大分疲れているが、これを理由に諦めてなる物か。

 コンテスト自体は見切りを付けようとも、作品は書き終えてやる……。


 さあ、考えよう。

 諦めるのは最後にすれば良い、今は考えよう。

 話の筋は考えてある、後は如何アウトプットするかだけだ。

 テーマと文章とテンポ、そして自分の思う面白いを。


 今まで一応の完結を迎えてきた作品よりも面白くなるように。

 さあ、考えよう、私には何がある? 私の武器は何だ?

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