色々あって……

 創作の手が止まっているキロールです。


 とか言いながら、某所の歴史時代小説大賞の短編部門に参加するべく郷土資料をあさりながら執筆はしているが。


 ただ、ファンタジー小説を書くのがちょっと億劫だ。


 テンプレとか書いてみたいけど書けないので、変則的な物を書いてきたが、やはりテンプレを求めているのに、そうでない物を示すのは不義理かなと思わぬでもないからだ。


 では、独自なファンタジーを書けばよいって?


 そうしたいのは山々だが、私の書く物はそうであっても転移や転生が絡むので真っ当なファンタジーとは見做されない感じを受けている。


 クラーク・アシュトン・スミスの描くウボ=サスラが私に与えた影響は酷く大きい。


 現代のロンドンに生きる私と古代のハイパーボリアに生きる魔導師がある神聖(……)を通して混じり合っていく様は秀逸だ。


 だから、私はその辺にこだわった、傍から見ると全く違うように見えるだろうが、ともかくそれにこだわった話を書きたがる。


 無論、趣味で書いているからそうするべきなのだが、最近それで良いのか迷いが生じている。


 C・A・スミスにゃなれないのは百も承知だが、その才能の欠片も無い自分がそんな難題に立ち向かって良いのかと思わぬでもない。


 これが、現在自分が抱えている純ファンタジーに対する葛藤だ。


 この問題は結局は自分で解決するしかない物で、うだうだしながら違う物を書いている。



 一つは先程も述べた某所のコンテストに出す戊辰戦争(地味でマイナーな戦場)もの。


 今一つが、去年から時々書こうとして失敗を続けてきた魔物ハンターものである。


 現代より未来の時間設定にしながらレトロ感漂う奇妙な世界で、昭和初期を思わせる冒険浪漫譚を書こうとして失敗を続けていたのだ。


 完成させる事が出来るのか? 何らかの形に残せるのか? そう疑問に思っていたが、台風の水害で疲れ切った私の脳裏に不意にある考えが過った。


 カーナッキと同じ形式にしてはどうか?


 カーナッキとはW・H・ホジスンの幽霊狩人カーナッキと言う怪奇小説の主役の事だが、この作品の形式が少し面白く、カーナッキが既に解決した事件を友人たちに話すと言う骨子で各事件を記している。


 探偵ものの趣を感じさせるこの流れの方が、私が書こうとする世界の雰囲気に合っている気がした。



 取り敢えず、ダイハードテイルズ出版局の第二回逆噴射小説大賞に参加したかった私は、取り急ぎ記して応募した。


 逆噴射小説大賞とは、パルプ小説の冒頭800字で如何に面白そうか? 続きを読みたいと思わせるかを競うコンテストで、商品は何とコロナ1カートンである。


 コロナ、ちょっと酒飲みたいときに軽めで良いんだよね。


 前回には何とか三次だかま残った私は味を占めて、また応募した訳だ。コロナも欲しいし。



 それで、このコンテストに応募した物をここにも記してみようと考えた。


 自分で書いた作品は好きに使って良いと言うのがこのコンテストの良い所なので、ここにも書いて、あわよくば反応を見ようと言う小狡い戦法である。


 如何に本文を記す。


『皇都神鬼狩猟譚』


 西暦2038年、春。


 僕は大学時代の先輩の元を訪ねるべく、皇都でも有数の資産家である洲燈すとう家の屋敷を訪れた。相変わらず立派な門扉に洒落たモニター付き呼び鈴。

ボタンを押せば、応対に出たのは女中さんであろうか。訝しげな声の様子から、僕の姿がこの家に相応しくないと思っている事は明白だった。


「一ノいちのせ先輩に呼ばれまして……ああ、僕は陣野英嗣じんのひでつぐと申しまして……」

「……晃人あきひと様のお客人ですか? 確認を取ってまいりますのでしばしお待ちを」


 この物言い、絶対に信用されていない自信が僕にはある。カフェの女給さんとかも如何わしい物を見る目で僕を見るからなぁ。等と思案しながら皇都の風に吹かれていると、頭上に影が差した事に気付いた。


 皇都の空を飛ぶのは昨年竣工したばかりの空中母艦『叢雲ムラクモ』だ。

戦う相手とてないのに、皇国軍は軍備拡張に余念がない。永世中立を守る為には、致し方ない出費ではあるのだが……。


「あれの万分の一でも研究費に回ってきたらなぁ」

「古い祭祀の研究にそこまで金は出せんでしょう」


 いつの間にか開いた扉から、壮年の落ち着いた物腰の執事が姿を見せて僕に告げた。


「あ、こんにちは。先輩は?」

「部屋でお待ちですよ」

「皆はまだ? なら一足先に先輩の話を聞けるな」

魔神狩人デモンハンターの経験を直に聞ける機会はまずないですからな」


 邸内に導かれながら執事さんと会話を交わす。そして、先輩の待つ部屋に向かう途中で洲燈様に出会った。


 その姿は相変わらず特徴的だ。腰に掛かるか銀色の髪を背後に纏め、美しい褐色の肌を持つ二十前後のこの女性こそ、先輩の師匠であり資産家の洲燈様だ。黒を基調としながらフリルの多い所謂いわゆるゴシックロリータと呼ばれる装いが妙に似合っている。


「英嗣か、お前まだ大学生をやっているそうだが?」

「ははは……大学八年生で」

「お前なぁ」


 真面目な洲燈様がお怒りになる前に、僕は慌てて先輩の待つ部屋に逃げ込んだ。


【続く】



 以上である。


 主役が出る前に文字数が無くなったが、雰囲気は出せた気がするがどうだろうか?


 誰か奇特な方で、何らかの感想を持ったのならば、教えて頂けると有難いのだけれど。


 

 それにしても、相変わらず乱雑で何処に話がいくのか良く分からないエッセイだ。


 とりま、ツァトゥグアを崇めておくと良いよ!(自棄)

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