第3話
ポッンとフロアに勢いよく音が鳴り響くと、
歓声が上がった。
「かんぱーい!!」
隣の席でシャンパンがおりたようだ。
私はあのしゅわしゅわとする液体をのんだことがない。ゆいちゃんなら日常的に呑んでいるのかなぁ。
自分の席へと視線を戻す。客は会社の旅行で地方から来たサラリーマン3人だ。そして、何故かはやとさんも私の隣についていた。 私は作り笑顔を振りまき、ロクタンのグラスでドリンクをぐいぐい呑んでいた。未成年飲酒?いやいや酒なんて入っていない。フェイクだ。はやとさんは嘘なのか本当なのかよくわないことを言い大いに場を盛り上げていた。サラリーマンの男たちの酒もぐいぐいとペースが上がっていく。
「ゆいちゃん俺たちもぽんしゅわしゅわ呑みたいな〜!!」
「呑みたいですね〜!!」
「じゃあゲームしてそれで勝ったらいいよ!
ただし、俺らが勝ったら、セット料金サービスしてな!」
...
お酒の席なんてろくでもない。未成年だし、呑まなくても良いんだ。余裕、余裕と思っていたが浅はかだった。ゆいちゃんの腕や肩は赤くほってって、華奢な体格なだけあって、酒が回りやすい。やっと、ビルの下までお客をやっとお見送りする時間になった。パーソナルスペースというものがここにはない。酔っ払ってベロベロの男を体を支え、エレベーターがつ地上につくと、「ありがとうございました!」と私たちは元気よく頭を下げた。そして手をふり「またね!お気をつけて」と全力で微笑だ。いつのまにか外はすっかり明るくなり、ゴミの回収車が走っていた。ふらふらと幸せそうにお客は手をふっている。不思議なことに3人いたはずが2人しか居ない。だか、もはやそんなことはどうでもよい。私自身足元がふらふらする。角を曲がり客の姿が見えなくなると同時に、あろうことか私は倒れた。
「っ!すいません」
すばやく受け止めてられ、はやとさんのおかげで足をくじくことが免れた。
「今日はありがとな、いっぱい呑ませてごめんな」
ピンヒールは頼りないが、隣にいてくれるはやとさんに安心する。 こうゆうところに好きになってしまうんだろう。しかし酔ってないで聞き出さなくてはいけない。ゆいちゃんのことを。あの酒の席を見て俄然この男に対しても興味が沸いていた。
「はやとさん...」
ゆっくりと唇を開き、慎重に言う。
「お腹すきました。
この後ご飯いきませんか?」
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