第2話魔女の力

俺の名前は小林空




上に大学生の姉が居る、そして両親との4人暮らし


両親は昼は花屋、夜はバーを夫婦で交代でやっている。


花屋の売れ行きは良くないが、代々続いている事と


地元に何人も優しいお客さんを抱えている。




「それじゃあ姉さん、いってらしゃい」




「いってきます空」




朝早くから大学に行く姉さんに挨拶をする、最近今年で4年生で


こんなに朝早くから行く位忙しいらしい。




俺は思慮深く、綺麗で優しい姉さんが大好きだ。




ニュースが流れている、俺の街であった事件だ


女性が何人も連続で失踪しているという事件。




俺はふと出ていく姉さんに、気をつけてと言った。




事件と言えば、小さい事件が俺の周りで1つあった


親友だったヤツに襲われた事もさながら......。




いきなりの接吻。


思い出す、ミオリの舌の触感、薔薇色の唇が重なる感触


甘い吐息にミオリのフローラルな香り、華奢な体の重みと僕の胸に当たる


膨らんだ胸......そして満月を背景に真っ赤になった目。




俺とミオリは幼馴染......という関係だったのだが


あの事件以来ミオリの顔が凝視できない。




しそしてミオリから魔女だと打ち明けられて


折角だからその能力を自分達の街で起きている


事件のためにつかったらどうだと俺は言ってる。




......実はミオリと話すためのきっかけが欲しいだけなのだが




ミオリに避けられているのだろうか?


彼女は俺と目を合わせてくれない、だからこそ


もどかしく、距離を縮めるきっかけがほしかった。




そんな事があった矢先に三日前から姉さんが帰ってきてない


友達よりも家族サービスを優先して


朝帰りなんてまずしない姉さんが、だ。


今日も失踪のニュースが流れた、両親は警察に行こうと言っている。




俺はとてもたまらず、わらにもすがる思いでミオリに相談した。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「......ミコちゃんが?」




小林ミコ、彼女には大学生になってもミオリは可愛がって貰っている。




「......ミコちゃんが絡んでるなら仕方ないか......」




僕も不安になってきた、早速聞き込み開始だ


と言っても思考を盗聴するだけど




「どう、ミオリ?」




「喋りかけるな」




人通りの多い場所に出る、シャッター街では無い


もう一つのチェーン店ばっかりの商店街だ




(あぁ、上司むかつく、殺してやりてぇ)




(パチンコで大負けだ、金金金、今月どうしよう)




(クソ、あの女とやりてー、あぁ最近女釣れてねぇ)




ミオリはため息をつく。




「みんな下らない愚痴しか言ってないね」




まぁそんなに心の中で大声で、俺は誰かを救いたい!なんて言ってる人もいないか


その時。


商店街を歩く柄の悪い男二人の心の声が聞こえる。




(.....あの女大丈夫かな、悪いことしてしまったな)




「.....大丈夫かな」




「提案したのはカズヤだからな」




(どうもこうも言ってられないだろうがコイツ、俺らが拉致って


楽しんでカズヤが処分するって言うんだから)




「そーいや、空のお姉ちゃんさ、帰ってきてないの?


あのフワッとしたボブの目の大きい、少し背の高いお姉ちゃん


、本当美人だったよねー」




僕は声を大きくして空に話しかける、空は一瞬固まっていたが


すぐ気付いて合わせてくれた。




「帰ってきてないんだよね、お父さん達が被害届を夕方に出しに行くって」




(や、やばい)




ち柄の悪い男達はちらと目を合わせると、そそくさといなくなった。




ミオリは動揺した男達からイメージを捉えた。


押さえつけられる、ミコちゃん、抵抗するミコちゃん、場所は倉庫か


その後のイメージは、頭から追い払った。


......ミオリの動悸が激しくなる。




「シャッター街の近くの倉庫に行くよ」




空もその想像はしていたのだろう、ただ杞憂なのは


ミコちゃんが今どこでどうしているかだ。




シャッター街の倉庫に入った......成仏しきれてない霊体がいる


その霊体が教えてくれた、最悪なイメージがミオリの脳に突き刺さる。




顔を真っ青にするミオリの顔を見て空の顔がもう絶望の色に変わっている


私達は隣接する神社の森に入る、ここだ......ここにミコちゃんが居る。


明らかに他の草むらと色が違う所がある。


夕方の神社の隣接する森はもう位、少し、怖いが、悲壮感がそれを覆う。




「......ミコちゃん」




「.....姉さん」




霊体を感じる、ミコちゃんの苦しみを感じる


空と黙って帰路に着いた、涙を流す空の顔を私は見れなかった。




居酒屋




柄の悪い男共が強い酒を飲みながら、煙草を吸う


中には煙草の匂いでは無い物もあった。




「お前ら客が居ないからってそんな話やめろよな」




と入れ墨を入れた店主が言う




「......なぁカズヤどうしたんだ結局?」




「あ?、俺なりのやり方で楽しんだぜ」




「......」




男二人は顔を合わせる。




「......何だよ、大丈夫だって俺の親の立場知ってるだろ?


万が一の事があっても、もみ消してくれるって」




その時


男の一人がカズヤに抱きつく、近くにあったフォークを取る


もう一人も取り憑かれた様にカズヤを抑える。




「......お、おいどうした、止めろよッ!!」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






「......ミオリ話があるんだけど」




「......いいけど」




「ニュース見たよ姉さんの事と、そいつらの事」




「......別にあんな事してもミコちゃん帰ってくる訳無いけど


でも、他にもあういう目に合う人居るかも知れない


.....後、ミコちゃんの霊体が軽く僕の周りに残ってたのだけど


空の事心配してたよ,,,,,,もっと男らしくなりなって」




「.....ミオリ、ありがとう」




男達からは視力を奪った。




ミオリは命までは奪わなかった、彼らはただ死ぬよりも辛い思いを


しながら生きていくのだ、そういう残酷さは魔女の血か。




両親は何も言わずに媒体を渡してくれた、だけどもお金は当然払わないと


大会近いのになぁ......バイトも入れるのか......。




......あ、そうだ。




「なぁ空、空の家で働かせてくれないか?」

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