瞬きストーリー(3周年)

つばきとよたろう

第1話

ソフトクリーム屋の店主が、三年掛けて東京タワー三個分のソフトクリームを作る上げた。天候によって、アイスクリームが溶けてしまうのが、悩みだと言う。



母ちゃんは、フラフープなら三周年くらい回していられると言っている。



開店三周年記念に作られた、超巨大な太巻きが、無残に切り刻まれ、来店客に配れる。



三周年の次は、何周年なのか、いつも頭を悩ませる。



三周年の誕生日には、ケーキにロウソクが、三本立っている。生まれたときのケーキに、ロウソクは何本なのだろう?



陸上選手が、三周年トラックを回っている。走り始めてから、三歳年を取った。



老人は三周年、入れ歯を付けたままだと言っている。介護士の人が、毎晩入れ歯洗浄剤に浸してから就寝するところを見ている。老人は朝起きると、いつも一番最初に入れ歯を口に入れることを覚えていない。



アパート三周年には、壁ドンが百万回を超える。


その老人は、三周年髪を伸ばし続けていると自慢する。変わったようには見えない。



三周年、お数は白身魚のフライしか食べていない。


記念に、白身魚のフライを食べる。



三周年の記念品が、開店祝いの記念品と被っている。



あの家の犬は、三周年回り続けているが、ワンとも鳴かない。



空き家になって、三周年の家の換気扇が、回り続けている。



盆栽を始めて、三周年になる。鉢の木は始めたときと、あまり変わっていない。



今日も校長は、創立三周年の話から始めた。もう四周年だというのに。



たこ焼きを三周年、焼き続けると、指にタコができると言う。



イカ焼きでも、タコができる。



三色パンの三周年記念は、何色パンなのだろう?



バームクーヘンを三周年、焼き続けている。



バームロールは三周年、食べ続けている。



その老人に取って三周年とは、まだ赤子の記憶程度に過ぎない。



三周年、ピンポンダッシュを続けてきた家が、空き家になっていた。



三周年、食べ続けてきたお菓子が、パッケージが新しくなって、味が変わった。


母ちゃんは、この味は変わらないと言う。



三周年、買い続けてきたが、自動販売機のジュースは、一度も当たったことが無い。



三周年、食べ続けてきた当たり付きのアイスの棒が、針山を形成していた。



どんなに思い続けてきた、思春期の片思いも、三周年で終わってしまう。



三周年で、どれだけの雨が降ったか、覚えている奴は居ない。



その老人に取って、三周年も四周年も大差ない。



三周年目の牛丼屋で、やっぱり三年目の味は違うなと、常連客は唸りながら食うが。違わんねーよ。




自転車で日本列島を縦断していた少年が、三周年目で保護された。


彼は既に三往復していたと言う。



使い続けてきた炊飯器が、三周年目にして、具を入れなくても、混ぜご飯が作れるようになっていた。



三周年にして、冷蔵庫の中から、始めてもらったチョコが見つかる。




結婚、三周年に買った鉢植えの観葉植物が、天井まですくすく育っている。



あの家は、空き家になって三周年を迎えるが、毎晩、訪れる若者は多いと言う。




三周年になると、電話が掛かってくる前に、イタズラだと分かるらしい。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

瞬きストーリー(3周年) つばきとよたろう @tubaki10

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ